十八大代表を務める国務院国有資産監督管理委員会(国資委)の邵寧副主任は、「これまで中国の発展は不足を解消するためのものだったが、今ではかなり多くの産業が既存の産業レベルの上に新たな発展の可能性を追求できなくなっており、一連の産業では生産能力が過剰にさえなっている。現在の発展の概念はもはや全体としての量拡大のプロセスではなく、主として構造のグレードアップやモデル転換のプロセスだといえる」と話す。
同報告では、「国内外の経済情勢にみられる新たな変化に適応し、新たな経済発展モデルの形成を加速し、発展推進の立脚点を質や効率の向上に置くようにすることが必要」であることを明確にしている。ここからわかることは、中国経済がすでにモデル転換の攻略段階に入っており、改革開放以来続いてきた高度成長モデルにこれから変化が生じるということだ。
十八大代表を務め、世界企業上位500社に名を連ねる中国建築材料集団公司の宋志平董事長(会長)は、「中国の経済成長ペースはこれまでのような2けたペースの急速な成長期から中程度のペースの成長期へと移りつつある」と話す。
宋董事長によると、急速な成長期の中国経済は規模が小さく、中程度のペースの成長期の中国経済は規模が大きくなる。規模が大きくなればなるほど成長の難易度は高まる。10年前はGDPの規模は10兆元で、10%増加するということは1兆元が新たに増加するということだったが、現在のGDPは50兆元に迫り、8%の増加は4兆元の増加を意味するからだという。
外部には、中国経済には「硬着陸」の可能性があり、成長ペースが大幅に低下することを懸念する声がある。これについて一部の代表は、このような懸念には道理がないとしている。中国には引き続き広大な内需市場という可能性があり、加速的に推進されつつある都市化が力強い成長のパワーをもたらしているからだという。
宋董事長は、「中国は国土が広大で、内需市場も投資市場も巨大であり、インフラ建設でまだやらなければならないことがたくさんある。北京には世界で最も混み合う地下鉄があり、各地方は地方空港の建設を求めており、高速鉄道の建設は回復しつつある。農村の都市化だけをみても約300億平方メートルの住宅改修ニーズがあり、これはいかなる国でも考えられないことだ」と話す。
高度成長に慣れた地方の官僚や企業家にとって、新しい中程度のペースの発展モデルに適応し、モデル転換や調整により多くの力を注ぐことは、苦痛をともなう過程となる可能性がある。中国共産党はこの点にすでに注目し、指導を始めている。
十八大代表を務める中国企業連合会の李明星副理事長は、「十八大が中国を新たな大規模調整期、大規模モデル転換期に進ませることは間違いない。中国経済の発展は今、内需主導型のモデルに転換することが必要であり、環境の受け入れ能力や資源の安全保障力により注意を払うことが必要だ」と話す。
中程度のペースの成長という予測が意味するのは、中国の発展はこれから安定やバランスにより注意を払うようになるということだ。李副院長によると、同報告は所得倍増という指標をうち出すと同時に、政治、社会、文化、生態文明の建設などにより多くの紙幅を割いている。生態文明の建設を現代化建設の全体計画の中に特に組み込み、外界に対して、今後の発展ではバランスと持続可能性をより追求し、国民の福祉により注意を払う方針であることを明確にしている。
あるアナリストの見方によると、7%という成長ペースは実際には低いものではない。このペースの維持は世界にとって重大な意義があるという。
米国のジョンズ・ホプキンス大学のピーター・ボテリエ教授は、「国際金融危機が発生して以来、中国はずっと世界経済に重要な関わりをもつ存在であり続けた。中国市場の需要が世界経済の復興を推進しており、中国経済の持続的で安定した成長は世界経済が低迷から抜け出す際の最も重要な推進力になるとみられる」と話す。
「人民網日本語版」2012年11月12日
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