吉住さん

 

王子維 対外経済貿易大学
今年の夏休み、中国にある日系企業でインターンシップをやりました。ここで、部長の吉住さんを知りました。吉住部長と初めて会ったのは面接の日、座ったとたん、吉住さんは容赦なく私の履歴書の間違いを指摘しました。私はドキドキしながらも、さすが真面目な日本人だなあという印象を持ちました。

私はこんな吉住さんと一緒に仕事を始めました。部長ですので、毎日山ほど仕事があって、吉住さんはいつも非常に忙しそうです。ある日、私は初めて日本語に訳した資料を吉住さんに渡しました。すると午後、吉住さんは私の席に来て、私が訳した本文を机の上に広げ、鉛筆で不適切な表現を一つずつ直してくださいました。そして「配電」など、私がよく知らない専門用語を簡単な言葉で優しく説明してくださいました。「頑張ってくださいね」。吉住さんは最後にこう言いました。忙しいのに、いろいろ細かい指導をいただいた私は本当に感動しました。そして、その感動を力として勉強や仕事で頑張ろうと決心しました。

吉住さんはいつも部下に親切で、出張するたびにお土産を持って帰ります。退屈な打ち合わせも吉住さんのユーモアで面白くなります。みなさんに「おじいさん、おじいさん」と呼ばれていますが、吉住さんは自分に厳しい人です。毎朝6時、公園でジョギングをしてから、会社に行って仕事を始めます。毎日一番早く会社に来るのはいつも吉住さんです。吉住さんは環境保護に関心を持っていて、身のまわりの細かなことから実践しています。資料をできるだけ両面で印刷したり、新聞を包むビニール袋をゴミ袋として使ったりします。それはおおざっぱな性格の私が最も感服するところです。

吉住さんを通して、日本人特有の「真面目」「繊細」「礼儀正しい」などの長所が具体的に分かります。それほど偉い人ではなくても、偉いことをしなくても、ほんの細かなことで日本人の精神を私に伝えます。その精神は、人が真面目に生きていく真剣な態度や力だと私は思います。吉住さんのような、私とは異なったバックグラウンドをもった日本人に出会って新しい文化とぶつかり、私は人間的に成長したと思いました。これからも、この気持ちを忘れず、どんな環境で暮らしても、言葉や仕事の壁を越えて前向きに踏み出そうと思います。

審査員評
体験をありのままに、素直に表現できる日本語能力を備えている。書き終えた後、読み直し、細部の点検を欠かさないようにすることが大切だ。

 

 
人民中国インターネット版

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