日本人の暖かさ

 

李暁琳 長春理工大学

子供の頃から、私は日本人によい印象を持っていませんでした。それには三つの理由があります。

第一には、子供の私にとって、日本はどんな国か、日本人はどんな人か、よくわかりませんでした。一般的に、子供はただ自分に親しい人や物事に興味を持つものです。子供はただ自分の狭い世界に生きて、自分を世話してくれている人をよい人だと思っています。それでは、なぜある子はほかの人に抱かれると、すぐにわっと泣き出すのでしょう。私の狭い世界の中では、たまに家族の話の中に出てくる日本人は、私の全く知らない人でした。第二には、たまに出てくる日本と日本人はほとんどテレビからの情報です。小学校から中学校まで、私たちは一ヶ月に二回学校の講堂に集められて、映画を見ました。その映画の内容は様々で、雷鋒の優れた行いを説明するものや、迷信を打破するための宣伝や抗日戦争に関するものなどがありました。その中で、抗日戦争に関するものが一番多かったです。私自身が体験した苦難ではありませんでしたが、それでも、日本という国と日本人は嫌いだという感情が生まれました。第三には、うちのおじいさんは軍人でした。彼の幼年時代は日本人から受けた苦しみはとても大きかったです。彼の青春時代は日本人との戦いでした。おじいさんはそろそろ百歳になります。戦争のせいで、耳がだんだん不自由になつて、もう聞こえなくなってしまいました。私が一番愛しているおじいさんは私の先生だと言ってもよいです。以上の理由で、日本人によい印象を持てませんでした。

そんな私がなぜ日本語を専門にしたのでしょうか。たぶん天の意志だと思います。私はまもなく四年生になります。この三年間で日本という国や日本人が理解できるようになりました。それは、ただ言葉だけの交流ではなくて、心の交流ができた結果です。その中で、強く印象に残った二つの例をあげます。この二つの例のおかげで、私は日本人の暖かさを知ることができました。

大学の二年生の時、私は「2011中国吉林国際アニメとゲームフォーラム」         のボランティアをしました。私たちボランティアの仕事は主に日本からの来賓に付き添って活動や会議に出席することです。それは私たちが一日中日本人と一緒に行動することを意味しました。こんなにも近くで日本人を見るのは初めての経験でした。私が担当する来賓は瀋陽の日本領事館の松本総領事でした。彼は中国に来てもう9年経ちます。その上、松本総領事は、中国と中国人のことについて、本当によくわかっていました。そして、松本総領事の中国語はとても流暢で、中国人のようでした。そんなことから、私と松本総領事との距離はすぐ縮まりました。そして、だんだん松本総領事の人柄に圧倒されていきました。自分はなぜ中国語の勉強をしたのか。自分はどうして中国に来たのか。自分は中日関係をどのように思っているか。総領事は何でも私に話してくれました。私の中日関係に対する一面的な物の見方を恥ずかしく思いました。別れる時、松本総領事は私に「琳ちゃん、自分が好きな道を選んで、最後まで頑張ってね。」と言いました。私はその言葉に大いに励まされて、自分の信念を貫くことを心に誓いました。日本人の暖かさに触れて、感激しました。

次は、友達に起きたことです。一緒にボランティアをした友達の王さんは日本の有名な漫画家のボランティアを担当しました。別れる時、その漫画家は「日本に戻ったら、王ちゃんに漫画を送るよ」と約束したそうです。その時、王さんは離れのつらさと共に、日本人の優しさに感動しました。寮に帰って、王さんはそのことを私たちにうれしそうに自慢しました。それなのに、一週間経っても、漫画は送られてきませんでした。その時、日本に大地震が起きて、みんなはそのことに気を取られ、王さんもだんだんその約束を忘れていきました。そんな、ある日、王さんに郵便小包が一つ送られてきました。その小包を開けると、王さんの目に涙が溢れました。小包は漫画家からの漫画でした。王さん自身も約束は約束で、ただの挨拶だと考えていました。だから、約束が果たされたことに感動しました。私たちも、日本人の暖かさを感じました。

小さい時の日本人に対する悪い印象が消えて、今、私は日本と日本人から暖かさを感じています。歴史は歴史として忘れることはありませんが、それは現在の中日友好の妨げにはなりません。重要なのは現在と未来です。もし、中国人と日本人がともに私のように、お互いに暖かさを感じることができたら、お互いに対する理解も深まっていくのではないでしょうか。今、中日関係に欠けているのは、中日両国民の暖かさではなくて、欠けているのは暖かさを感じる心だと思います。

 

 
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