「日本を取り戻す」にはまず平和の根を守るべき

 

日本の衆院選の結果が16日夜明らかになった。3年以上野党だった自民党が過半数を超える議席を獲得し、政権奪還を果たした。自民党の安倍晋三総裁が今月26日召集予定の特別国会で首相に指名される見通し。

衆院選で安倍氏率いる自民党は「日本を取り戻す」をスローガンに掲げ、3年余りにわたる民主党政権によって政治・経済・外交・安保・教育など多くの分野で日本を失ってしまったと非難、そして今日本を取り戻す時だと訴えた。

自民党が取り戻したいのはどんな日本なのか?選挙前の世論調査によると、6割以上の有権者が各党の経済政策を最も重視するとし、外交・安保を最も重視すると答えた有権者は15%にとどまった。多くの有権者の願いからすると、自民党が取り戻すべきは「景気のいい日本」で、「失われた20年」から脱却するために経済再生に力を入れる必要がある。

ただ実際のところ、自民党や日本維新の会などは選挙中、安保や軍事に重点を置き、タカ派色を前面に出してナショナリズムを煽り、票獲得をねらった。日本の政治全体の急速な右傾化に隣国および国際社会は懸念している。

選挙期間中、日本の保守右翼陣営は平和憲法の改正、集団的自衛権の確立、国防軍創設、防衛費の大幅拡充、海上警備の強化を叫んだ。しかし実際日本が戦後数十年平和と繁栄を享受できたのは平和主義の路線と武力放棄を中核とする平和憲法のおかげだ。

戦後の清算が不徹底だったのと教育などの問題により、一部の日本人は戦前の軍国主義を忘れられず、歴史教科書の修正、靖国神社参拝などを持ち出して軍国主義を復活させようとしてきたが、政治を左右する影響力はなかった。しかしここ数年、国力の相対的な衰退、戦争の記憶を持つ人々の高齢化にともない、日本社会に「復古」の風が強く吹き、政界の保守勢力に巻き返しの土壌を提供している。近年日本の右翼勢力が歴史・外交・領土などの問題の火付け役となっている重要な原因がそこにある。

平和な日本こそ地域および世界の福であり、いらつく日本は世界に新たな不安をもたらすことは歴史が繰り返し証明している。自民党が本当に日本を取り戻したければ、まず歴史を正視し、戦後の国際秩序を尊重して極右勢力の膨張を阻止し、長年培ってきた平和の根を守り抜く必要がある。

 

「中国網日本語版(チャイナネット)」 2012年12月17日

 

 

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