資料写真:安倍晋三氏
平和憲法の改正と自衛隊の「国防軍」昇格を主張する自民党の安倍晋三総裁は16日、衆院選で勝利を収めて日本の首相に返り咲き、野田氏率いる民主党は大敗し、執政権を失った。ところが、選挙運動で中国に対する強硬的な姿勢を示した安倍氏に、多くのアナリストは、中日関係は悪化し続け、「政冷経冷」の様相を呈する恐れがあるとの懸念を示す。
これについて、上海国際問題研究院学術委員会の呉寄南副主任は、安倍氏を勝利に導いた要因は複雑であり、安倍氏の再登板後も日本の政局が安定するとは限らないと見ている。中日関係はすでに冷え込んでいるが、内政と外交の困難に直面する日本は姿勢を和らげ、中日関係の「二度目の春」到来を目指す可能性があるという。
「一難去ってまた一難」の状態を続けている中日関係は、「釣魚島購入」問題により悪化し、選挙運動で中国に対する強硬的な姿勢を示した安倍氏が就任後も強硬策を採り続けば、中日関係に新たな問題をもたらすことは間違いない。呉寄南氏は、安倍氏には中日関係を改善せざるを得ない巨大な圧力がかかっていると話す。
呉氏によると、まず、日本の経済成長が良好でないことは争えない事実であり、日本は最大の貿易相手国である中国への輸出を増やして景気を促進することを期待している。また、日本を訪れる中国人観光客を増やし、景気を刺激、活性化したい考えだ。そのほか、日本はロシア、韓国、中国などのほぼすべての隣国との間に島嶼問題があり、米国は日本をアジア太平洋において再均衡を図る柱にしたいと考えているが、日本と隣国の関係が緊張状態になることを望んでいるとも限らない。
日本の国民もアジア太平洋地域で日本が孤立することを望んでおらず、平和共存、協力・ウィンウィンは人々が望む、今後の主な流れである。それに加え、自民党は過去に半世紀近く政権を握り、中日間の多くの政治文書も自民党の執政期間中に締結された。これらの要素は安倍氏が中日関係を改善するきっかけになる可能性がある。
さらに呉氏は、「最近の中日関係の悪化は野田氏の執政期間中に発生したものである。安倍氏は2006年の在任中に『氷を砕く旅』で訪中したように、就任後に中日関係の改善に向けた大きな行動を採る可能性もある。安倍氏は就任後の最初の訪問先を米国に決めたが、中日関係の緩和に向けたメッセージを発するだろう」と語った。
中日関係の改善に対して慎重な楽観的見方を示す呉氏は、「安倍氏は9月の自民党総裁就任後、すでに人事面の調整に着手している。高村正彦前外相を副総裁に起用したのは、日中友好議員連盟の会長であるとともに中国で幅広い人脈を持つ高村氏を通して、中国の扉を開きたい考えからである。近ごろ、谷内正太郎前外務事務次官や宮本雄二前駐中国大使とも頻繁に交流しており、安倍氏はこの2人の外交官を起用して中日関係の改善を図ると見られている」と述べた。
「中国網日本語版(チャイナネット)」2012年12月18日 |