福田康夫元首相「手を携え、肩を並べてアジアの発展を促すべき」

 

ボアオ・アジアフォーラム年次総会が6日、博鰲(ボアオ)で開幕した。ボアオ・アジアフォーラム理事長を務める日本の福田康夫元首相は同日、単独インタビューに応じ「アジア各国は手を携えて協力し、『アジアの夢』の実現を促すべきだ」と表明した。経済日報が伝えた。

インタビューを受ける福田氏。

記者:福田氏はボアオ・アジアフォーラム年次総会に繰り返し出席しているが、今年の最大の目玉は何か

福田氏:今回の年次総会には世界各国の首脳が参加し、参加人数は例年より明らかに増えている。みなさんの参加熱意も高い。これは、これまでと最大の相違点だ。現在、世界は多くの問題に直面している。例えば経済面では欧州債務危機で、これは世界の他の地域にも影響を与えうる。また、国際社会は政治、経済、環境保護、エネルギーなどの問題に非常に注目している。中国経済は急速な発展を遂げ、国際的影響力を高め続けている。中国の発展には世界が注目している。

記者:今回の年次総会のテーマは「革新、責任、協力:共同発展を追求するアジア」だ。ボアオ・アジアフォーラムの理事長として、このテーマについてどのような特別な考えを持っているか

福田氏:重要なのは革新という部分だ。これまでの方法をとり続ければ、資源、エネルギーといった現在直面する現実的題を解決できない。こうした問題を解決するには、革新が非常に必要だ。協力面では、アジア各国・地域は背景や経済発展水準が異なり、宗教信仰、言語、生活様式も千差万別だ。自らの能力だけに頼っては、資源やエネルギーの問題は解決できない。国境を越えて、手を携え、肩を並べて、複数のルートで経済協力を繰り広げるべきだ。これには各国・地域が協力過程で相手側の考え方を考慮してから提案を行うことが必要だ。これでこそアジア各国・地域間の交流・協力だ。同様に、われわれも中国の視点に立って、中国の問題について考える。もちろん、われわれは自らの言動に対して責任を負わなければならない。こうしてこそ信頼ある協力関係を繰り広げることができる。

記者:現在の経済情勢の下、アジア各国・地域はどうすれば溝を克服し、共同発展を遂げ、世界経済の再生に助力することができるか

福田氏:EUの状況を例に説明したい。EUは27カ国で構成され、大部分の加盟国間でユーロを使用している。だがEU諸国は依然多くの困難に直面している。EU加盟国間は団結と協力の条件が整っている一方で、依然様々な問題にも直面しうる。われわれアジア各国・地域は言語、宗教、民族が異なる。異なる背景を持つアジア各国・地域は協力を通じてのみ各自の役割を発揮し、国際競争に対処することができる。したがって、協力を通じた共同発展をいかにして実現するかについて検討しなければならない。先週、中日韓自由貿易協定(FTA)の初交渉が行われた。3カ国が未来志向でFTAの検討に着手するのは、良い契機だ。1つの国の力は限られている。協力を通じてより多面的な発展を促すことができる。協力過程では様々な意見や問題に直面する可能性がある。だがこうした問題は克服しなければならない。

記者:最近、アジア太平洋地域では2つの言葉が非常にブームになっている。1つは「中国の夢」、もう1つはアジアの復興だ。福田氏は中国の演じる役割や果たす役割をどう評価するか

福田氏:中国の経済規模は日に日に拡大すると私は信じているが、規模だけでなく質にも目を向けなければならない。例えば中国で注目されている問題の1つである環境保護問題は、発展の中身を変えることを要求している。いかにしてエネルギー消費モデルを改変し、エネルギー消費を引き下げるか。これらには革新が必要だ。中日双方は以前これについて協力を行った。

経済規模の面では、中国はアジアに占める比重が大きく、アジア地域全体に対する影響も大きい。今後、中国がアジア各国・地域に対してどのような責任を担うかに私は注目している。例えば中国が生産方式またはライフスタイルの改変を通じてエネルギー効率を高めれば、世界のエネルギー消費量にとって福音となる。また例えば、ライフスタイルの面では、食物を浪費しなければ、世界的規模の食糧不足の緩和にプラスとなる。中国は大国であり、一挙一動が世界に大きな影響をもたらす。

私は中国がアジアの金融協力分野で一段と重要な役割を発揮することを心から希望する。アジアにはまだ先進国が少ない。われわれはアジア各国・地域が手を携え、肩を並べて協力することで、各国・地域の発展を一段と促し、アジアの復興を共に促すことを希望する。

記者:欧州債務危機はまだくすぶっているが、出口はどこにあると考えるか

福田氏:EU各国は背景が異なり、産業構造、法律制度が異なる。各国が抱える問題も異なる。ギリシャ、イタリア、スペインは現在危機に直面している。さらに多くのノウハウと時間を用いて欧州債務危機を解決する必要がある。私は、さらに多くの共同ルールを確立して問題を解決することを希望している。

記者:最近、いくつかの主要経済体が量的緩和政策を実施した。4月4日には日本銀行も新たな拡張的金融政策を発表した。多くの人々が世界規模の「通貨戦争」の到来を懸念している。これについてどのような見解や提案を持っているか

福田氏:各国共に異なる状況を抱えている。例えば日本はこのような金融政策を講じたが、他国にもマネーサプライの拡大を要求することはできない。各国は各自の財政、金融、経済の現状に基づき政策を決定しなければならない。日本はすでに巨額の負債を抱え、財政は赤字化しているのに、なぜこのような措置を講じるのかと尋ねる人がいる。日本の特徴は政府は多くの債務を抱えるが、国民は金を持っていることだ。日本は税率引き上げによって政府の財政赤字問題を解決することができる。だがこれは全ての国が模倣できることではない。各国の状況は異なるということを強調したい。例えば過去しばらく日本の輸出量は減少し貿易赤字を招いたが、株式や特許による企業の資本収益はまだ良い。一部の国では貿易赤字と同時に政府の財政赤字も生じている。これでは、どのような措置を講じても困難だ。日本政府はできるだけこうした事態を回避し、政府赤字を削減すべきだ。

 

「人民網日本語版」2013年4月7日

 

 

 

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