四川地震、ニューメディアが救援に一役買う 四川雅安市蘆山県で20日発生した大地震で、ニューメディアが救出などに大きな役割を果たし、その「奇跡」の目撃証人にもなっている。人民日報海外版が報じた。
■ニューメディアの抜群のスピード
今回の地震発生後、ニューメディアの中でも特に中国版ツイッター「微博(ミニブログ)」が、最大の情報の「集散地」となり、その情報伝達の速さは、従来のメディアよりもはるかに速かった。まず、地震発生から1分後に、中国地震台網速報の公式ミニブログは自動測定機能が作動し、地震速報を伝えた。その後、ミニブログ上で、救助を求める情報が次々に寄せられた。一方、従来のメディアであるテレビ局は依然ドラマを放送し、新聞各紙も翌日の記事を準備することしかできなかった。
技術の面でも、ミニブログやチャットアプリ「微信」は従来の通信方法よりも安定している。「微信」をめぐっては最近、中国工業・情報化部(工業情報化省)が、「CASプロトコルを占領している」と有料化を迫ったことが話題になったが、今回の地震で「微信」にはまだまだ開発の見込みがあることが実証された。例えば、ある北京のユーザーは地震発生後すぐに成都市や雅安市の家族、友人に電話をかけてもつながらず、「全身がふるえ、頭が真っ白になった」というが、しばらく経って冷静になり、「微信」でメッセージを送ってみると、「無事」とすぐに返事が返って来た。
電話がつながらない状況下で、なぜ「微信」はつながるのだろう。その理由は業務原理の違いにある。「微信」や「ミニブログ」は、1つのプラットホームに情報を集め一斉に発信されるのに対し、一方の携帯や固定電話での通話は、通話者同士の独立したルートを確立しなければならないのだ。今回の地震では、利用できなくなった無線基地局や破損したケーブルも多く、ニューメディアの活躍が一層浮き彫りになった形だ。
■安否確認プラットホームが活躍
グーグルや百度、新浪、テセント、奇虎360などのポータルサイトは地震発生後すぐに、知人の安否が確認できるプラットホームを立ち上げた。テセントのプラットホームでは22日の時点で、340人が親戚や友人と安否の確認を取った。また、百度はサイト内の交流プラットホームの情報をまとめ、新浪もミニブログの情報をまとめた。そして、テセントもミニブログや微信の情報をまとめ、人人網もソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)のメリットを活用した。さらに注目すべきこととして、検索サービスをめぐって熾烈な競争を繰り広げている百度と奇虎が22日、共同で家族の安否を確認するプラットホームを立ち上げ、データを共有した。
ただ問題もある。安否情報サービスは日頃あまり使われることがないため、さまざまなサイトがサービスを提供すると、利用者はどれを使えば分からず、さまざまなサイトで1つ1つ投稿すると言うことも少なくない。そんな時に活躍するのがPFIF(People Finder Interchange Format)というフォーマット。同フォーマットは、2005年、ハリケーンカトリーナが米国に上陸した際、安否情報サービスがボランティアによって組織されたが、異なる情報ソースからさまざまなフォーマットでデータが寄せられたため、データの一元管理が困難になり、ボランティア参加者が策定。安否情報サービス間でデータをスムーズにやり取りすることができる。
■ニューメディアをうまく活用すれば効果絶大
ミニブログの力はうまく使えば救援活動をバックアップする貴重なアイテムになる。しかし、使い方を間違えると、混乱を招く恐れもある。地震発生当日、「徐敬、お母さんが重傷だから早く雅安市水城県に帰ってきて」という投稿がインスタントメッセンジャー「QQ」や「微信」で次々に転送された。しかし、人民網の調べで、高額の利用料を搾取する詐欺情報だったことが判明した。また、今回の地震の画像として投稿された、多くの負傷者が映る画像が2008年の四川大地震当時のものであることが分かったケースもある。このような、真偽を確かめるのが難しい情報が貴重な救援資源を浪費し、社会から信頼を奪っている。このような問題に、情報を監督管理する機構が警笛を鳴らしている。
一方、災害を前に、市民一人ひとりの力を効果的に集め、一つにするためには、政府の合理な指揮と管理が必要だ。その点、政府機関のミニブログの公式アカウントやなどは、虚偽情報を削除するなどして、対応に努めるべきだ。救援活動に置いて、ニューメディアの力をいかに引き出すかに関して、新浪ミニブログ社区委員会の専門家、沈陽・教授は「被災状況の情報投稿や情報の拡散などの機能以外に、▽救援部門は位置情報サービス「ロケーションベースドサービス(LBS)」を提供する▽地震観測部門は可視化された救助を求める情報図を提供する▽政務はミニブログを通して、ネットユーザーが気を揉んでいる問題を分析し、リアルタイムで情報を提供する---などを提案している。
「人民網日本語版」2013年4月26日
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