オバマ大統領の招待を受け、習近平国家主席は6月7日から8日にかけて、米カリフォルニア州のアネンバーグ別荘で両国の首脳会談を開く。為替相場、貿易、ネット空間、アジア太平洋の安定、シリア・朝鮮問題は、首脳会談の重大議題になる。今回の首脳会談は、この2つの世界最大の経済大国がさまざまな問題で対立する中で開かれるため、世界の注目の的となっている。
しかしながら、煩瑣で複雑な具体的問題から、より遠く深い方向を見つめると、今回の首脳会談は中米の二国間関係および具体的問題を超越し、より広範な世界的意義を持つ。グローバル構造および中米関係は今日、一部の構造面・制度面の課題に直面している。現在の流行語を使うならば、「チャイナドリーム」、「アメリカンドリーム」、「ワールドドリーム」の融合は、重要なチャンスと課題に直面する。
中国は最大の発展途上国であり、チャイナドリームは経済面において、発展途上国の発展の夢を代表する。世界経済一体化が進む中、発展途上国と先進国は同じ船に乗り難関を切り抜けることで、両者の発展・成長の夢を実現できる。今回の中米首脳会談は、一つのチャンスと言える。
中国はまた西側諸国以外で最大の国家であり、チャイナドリームは意識形態・民族文化などの面で西側諸国とは異なる平等の夢、尊厳の夢を代表している。中国はチャイナドリームをアメリカンドリームの代わりにするつもりはなく、また自らのイメージにより世界を再構築する意思もない。しかしその他の西側諸国以外の国家と同じく、中国は国際政治体の中で平等かつ尊重される席を占めることを求める。近代より西側諸国から蔑視され続けてきた第三世界の国家にとって、この尊厳の夢の重要性は、西側諸国に理解できるものではない。そのため、文化意識形態に関する相互尊重は、アネンバーグ別荘の首脳会談のスタートラインであり、円満な成功の保証となるものである。
同時に、中国は最大の社会主義国家だ。この立場はチャイナドリームに、非資本主義市場国の強国の夢を代表させる。経済競争は今日、国際競争の主要な手段になっている。米国は自由主義を信奉する経済体であり、中国は社会主義市場経済を堅持している。両者間の違いは短期間内に消滅することはなく、拡大する可能性さえある。これは避けられない事実だ。
しかしながら、米国は自由経済体・先進国間の経済同盟の構築を急いでいる。環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)、環大西洋自由貿易協定(TAFTA)は、米国の現在の重要な業務内容だ。この2つの地域のGDPは世界の61%を占めており、両協定は世界経済・貿易のルールを司ることになる。しかしながら、中国はそこから除外されている。このままでいけば、経済ルールの面で米国を中心とする自由経済体連合と、中国を中心とする非自由資本主義同盟の間で、対立が生じるだろう。その点から論じれば、アネンバーグの首脳会談は重要な意義を持ち、世界経済体系がさらに融合できるか否かを占うことになる。
「一葉落ちて天下の秋を知る」という成語があるが、アネンバーグの首脳会談は、中米両国の思惑が一致するか否かに関する試金石になるかもしれない。(文=牛新春)
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2013年6月5日
|