林国本
さる6月14日、中国では大気汚染対策10カ条が公表された。そのなかで北京市、天津市、河北省などからなる環渤海地区、長江デルタ、珠江デルタなどを含む地域での対策に取り組み、各省、自治区、直轄市における大気汚染対策目標責任考課システムを構築することになった。同時に、重度大気汚染を地方政府は突発事態と見なして応急対策に力を入れ、汚染の度合に応じて、汚染源となっている企業の生産制限、排出目標の設定、車両の使用制限を行なうことにしている。
大気汚染対策は民生問題であり、経済のグレードアップの重要なメルクマールでもある、と見ている。中国で注目されている地域複合型大気汚染はなが年にわたって積み重なってきた結果であり、その対策は複雑な総合的アプローチを必要とすると見られている。
北京市のクルマの排気ガス、河北省における石炭使用による大気汚染、天津市の石油化学工業による大気汚染は、北京市のPM2.5を主とする汚染原因であると専門家は見ている。北京市の市街区五環道路以内はほとんど工業企業が存在しないが、500万台を超えるクルマの排気ガスによる汚染が深刻化している。北京は東、西、北の三方向は山々に囲まれており、風向きによって、河北、天津の大気汚染が北京に波及しているという見方もある。
北京オリンピック前後には汚染対策に力を入れたため効果が見られたので、今回の対策もきっと問題の解決を加速すると見られている。
中国のシステムでは、いったん決断が下されれば必ず達成されることがこれまで立証済みなので、人々は楽観視しているが、なにしろ、クルマがどんどん増え、人々の生活とも密着しているので、これをいかに弾力的に解決していくかは、これまで未経験のことでもあり、ある意味では新たな学習課題でもあろう。
宇宙ステーションの構築という段階に入った中国は、技術的には大気汚染を解決する条件はととのっているが、かなりのペースで発展をとげる中で、環境保全の課題をいかに解決していくかは、近代化の中で解決していかなければならない新しいテーマであると思う。
「中国網日本語版(チャイナネット)」より 2013年6月17日
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