二つの世紀に跨る奇縁

 

王衆一=文 

2013年の6月は、私にとっては格別の月なのです。この月の下旬に、私は満50歳となり、いわゆる「天命を知る」歳を迎えます。そして同じくこの月の上旬には、四半世紀近く(24年間)私が勤務してきた日本語月刊誌『人民中国』は、創刊満60年、いわば還暦の歳を迎えることになります。 

2001年、『人民中国』史上初のオールカラーリニューアルが行われました。当時想定した目標は文字と写真の両立による内容とレイアウトによる視覚的効果の三位一体のグレードアップでした。中日交流の話題を増やし、現代中国の変貌をより多く取り上げる方針も確立されました。ときの人を表紙人物に取り上げるのもその一環だったのです。

リニューアル後の変化のひとつは、依頼原稿が大幅に増えたことです。特に両国の作者による原稿は、互いに熟知する比較文化の深みにおいて対話がなされ、その時期の雑誌の知的感覚には大幅なアップが認められました。

今年、『人民中国』は還暦を迎えることになります。旧知の方々、愛読者で故人となった方も少なくありませんが、若い世代は速やかな成長を見せ、現地化の推進、新技術によるメディアのデジタル化、ネット化などは、これからの再出発に新たな希望をもたらします。

『人民中国』に在って、私は視野を広げ、国際コミュニケーションの世界で活躍するチャンスに恵まれてきました。同時に、胆力と識見のある多くの尊敬すべき人々に出会いました。すでに他界した方々も少なくありませんが、彼らから授かった精神的な富は一生涯私に伴うことでしょう。 

還暦を迎える『人民中国』にとって最も尊い富は、各時期における雑誌を支えた、多くのこのような信念のある人、胆力のある人、熱心な人、黙々と頑張る人、好んで他人を助ける人、プロフェッショナル魂を誇りとする人、人民友好の促進をライフワークとする人たちなのです。 

こうした立派な人たちとともに仕事をし、彼らの事業に溶け込み、彼らの精神に触れ、自ら担当する仕事に尽力した私の四半世紀の人生を、私は光栄に思うものです。 

この精神は、還暦からさらに飛躍する『人民中国』の中核的な価値として生かされ、受けつがれ、伝えられていくべきではないでしょうか。

 

人民中国インターネット版

 

 

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