街角で繊細さを探すなら、田子坊を歩いてみたい。地下鉄9号線を打浦橋で下車すれば、すぐに多くの高級カメラを下げた人たちが上海伝統の石庫門建築の路地に入っていく様子が見える。ここが田子坊だ。迷宮のような路地を巡れば、手工芸品や家庭用品を扱う店や画廊、茶館、カフェなどと、大勢の観光客が視界に飛び込んでくる。しかし、どれだけ人通りが多くても、そこにある優雅さと創意に満ちた活力が私たちの心をとらえる。
「浮生」という小さな店は路地の奥にあり、重荷茶器や文房具を扱っている。店内に客の姿は少なく、店主は静かに座っている。こんな奥まったところで商売は大丈夫かと心配になるが、店主は自信に満ちた表情で「商売はいい時も悪い時もあるものです。でも、この店の魅力はきっとお客を引き寄せるはずです」と答えるのだった。
一方、シルクと中国伝統服を扱う「盛唐牡丹」では繊細さだけでなく、創意も発見した。シルクはこの地域の特産であり、観光客にとって親しい人へのプレゼントの第一候補だが、シルクのスカーフはどれも同じように見えて選びきれない。しかし、この店がデザインしたストールは独特だ。三つの中国風布ボタンがついており、これによってスカーフ、ストール、ノースリーブの上着へとさまざまに変化するのだ。高貴で優美なシルクに多彩な用途が加わった中国的風情に満ちたプレゼントが、喜ばれないはずがない。
田子坊歩きに疲れたら、「Tai Wine」で休憩するのもいい。この店の甘くなめらかなムースに蜂蜜柚子茶がベスト・マッチ。リラックスして探訪の成果を振り返ることができるはずだ。
人民中国インターネット版 2013年7月8日
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