2人目の日本人客になってみませんか?

 

なぜか、不思議になごめる回族の美食街だ。ウルムチ市西北、市の中心から30キロほどの位置にある昌吉には、昌吉回民小吃街がある。2008年にオープンした1万2000平方メートルのエリアに、グルメのほか観光レジャー、文化娯楽エリアを併せ持つ総合的なテーマパークだ。回族料理のレストランや菓子店が並ぶが、菓子まですべて清真(豚肉由来の成分を一切使わない)になっている。

 

小吃街の中心部には羊羔肉など回族の美食を扱う店が集中している。中には羊肉料理の重要無形文化財保有者というおじいさんもいるほどだ。人気のスナック・油塔子を売る店には常に行列ができている。ここは、現在では観光客だけでなく地元の人も食事時には大勢訪れるようになっており、すっかり昌吉の顔になっているのだ。

 

 

   

 

グルメのほかにお土産や特産品を扱う店も並ぶ。そのひとつ「西域奇葩」(西域の珍しい花の意味)という店のオーナーが王丹萍さんだ。宗教上の理由で顔写真は撮影させていただけなかったが、30代後半だろうか、理知的な顔立ちをして落ち着いた話し方をする女性だ。2008年10月に、ウルムチのバザールから移転してきた。「向こうがちょうど契約満了になった時に、ここができると募集があったので移ってきました。こちらの方が静かで落ち着いていますから。ウルムチは人が多すぎます」

 

静かだということはお客が少ないことも意味するのでは、と質問してみた。「こちらの方が気楽でいいですよ。オープン当初から2年ほどは、知名度が低いためお客も少なくて苦しかったですが、その後3年間は良くなってきました。昌吉は回族が集まって暮らす場所ですが、回族は飲食文化が独特で、ここはそれを代表する存在になってきたと思います」と話す王さんの、どこか商売人らしからぬ淡白な口ぶりは、回族の人生観を反映しているのだろうか。店内には回族の女性がまとうスカーフや各種アクセサリー、化粧品など女性が好みそうなものが並ぶ。店を訪れた日本人は私が初めてだというが、「もうすぐ道路が整備されれば、ウルムチから30分ほどで来られるようになりますので、日本の観光客の方にもぜひ来ていただきたいですね。人気商品ですか? 新疆のラベンダーなど天然素材を練りこんだせっけんです。1個15元(約250円)ですから、日本で買うよりずいぶん安いのではありませんか」王さんは、インタビューが終わると通りの向かいにある店に昼食の麺を買いに出て行った。

 

 
人民中国インターネット版 2013年7月
 
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