撮影天国の住人たち

 

カシュガルの高台民居はウイグル族が古くから住むエリアで、1000年もの歴史があるそうだ。それだけに写真を撮影したくなるポイントだらけだが、住民はカメラを向ける観光客にとても協力的だ。宗教的な理由で顔を隠す女性もいるが、子どもや男性は笑いかけたりポーズを取ったりしてくれる。家の中も撮影させてくれる。ここには、手作りの陶器などを販売する工房や、廉価な工芸品を売る家がいくつかある。10元ほどの工芸品を賈って家の中を見せてもらうという感覚になるが、買わなくても普通に家の中を撮影させてくれる。

 

 

カシュガルの市街地で、昔懐かしい雰囲気の散髪屋を見つけて店内をのぞくと、客のヒゲを当たっていた店主が、「この腕前をちゃんと撮影しな」とばかりに目配せしてよこした。街角で遊んでいる子どもたちはもっと直接的だ。カメラを向けるとくったくのない笑顔を向けてくる。なぜ、外来の人間に対してこんなにもオープンなのだろう。古代から多くの民族が行き交ったシルクロードの交易都市ならではのホスピタリティーなのだろうかと、つい歴史にまで思いをめぐらしてしまう。

 

高台民居の夜景を撮影していたら、近くにいた少年が「僕にも撮影させて」と寄ってきた。世界各地を旅行してこられた方はお分かりかと思うが、本来ならそのまま持ち逃げされるのを心配しなければならない場面だ。ところが、ここの少年たちにはそんな気配は一切ない。少年は熱心に私と少年の兄のツーショットを撮影しつづけた。その後、一眼レフの基本的な使い方を教えて別れたが、20年後にカシュガルから優れた写真家が現れたら、私にも功績があるかもしれない(笑)。

 

ライトアップされた建物など、新疆には美しい夜景の撮影ポイントも数多くある。ただし、ここでの夜景撮影は寝不足との戦いも覚悟しなくてはならない。中国でも最も西に位置する新疆では、日暮れが極めて遅いためだ。この時期、ウルムチの日没は午後10時近かった。さらに西のカシュガルともなると10時半近くだ。暗くなるのを待っているとすぐに11時、12時になってしまう。ウルムチで人気の屋台街は11時を過ぎても宵の口といったにぎわいだ。

 

 

人民中国インターネット版 2013年7月

 

 
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