世界はG20に期待 G20は中国に期待 |
5年間の協力のすり合わせ期間を経て、第8回G20サミットが9月5日にロシア・サンクトペテルブルクで開かれる。今回のサミットの現実的背景として、世界経済の回復力不足、国際紛争の増加が挙げられる。(文:黄薇・中国社会科学院世界経済政治研究所グローバル・ガバナンス研究室副主任。人民日報海外版コラム「望海楼」掲載) 世界銀行は6月、2013年の世界経済成長率の見通しを年初の2.4%から2.2%に引き下げた。米国経済は低成長で、予測を上回るものの、雇用改善の歩みは緩慢だ。欧州経済は依然不振だ。日本経済はアベノミクスの刺激で多少改善したが、長期的な経済成長の見通しは楽観を許さない。中国に代表される新興国の経済成長は全体的に多少減速している。こうした背景の下、世界経済ガバナンスの主要な国際的場であるG20サミットが世界経済の回復を後押しできるかどうかに期待が集まっている。 不況の影響で、過去1年間に国家間の経済紛争は明らかに増加した。経済政策面では量的緩和政策の縮小やアベノミクスに関する争いがある。貿易投資面では中国、米国、EUという三大巨頭間の太陽光パネル紛争がある。資源面では核開発問題と領土紛争がある。さらに企業秘密と知的財産権に関わるネットセキュリティ紛争など突発的なものもある。こうした紛争の大量噴出は世界経済ガバナンスに新たな課題を突きつけているが、国際システムは無政府状態にあるため、G20という国家間の意思疎通と調整の場がとりわけ重要と思われる。 G20サミットは世界経済の正常な秩序を守り、世界的公共財を提供するという重任をすでに担っている。2008年と2009年の世界金融危機におけるG20の迅速な対応と政策協力面の行動はあまねく称賛された。過去1年間に先進国と新興国が遭遇した発展上の難局は再び同一化に向かっており、今回のサミットでは政策調整、世界経済問題の解決面で重要な進展があると見られる。 G20協力は大国による共同ガバナンスのひな形を示している。だがG20が真に世界経済ガバナンスの主導的制度に成長できるかどうかは、いくつかの分野で進展を遂げられるかどうかを見る必要がある。第1に、中米両大国が政治的相互信頼の問題を適切に解決し、手を携えて世界経済秩序を築くことができるかどうか。第2に、G20各国が小異を残して大同につき、駆け引きと妥協の中で均衡を見いだせるかどうか。第3に、G20が内部制度化建設を通じて、協力の効果と監督能力を高められるかどうかだ。 中国は責任のある新興大国として、G20の枠組みで積極的に協力を展開し、より公平で、合理的で、秩序ある世界経済秩序の構築に貢献すべく努力している。中国はすでに「G20など世界経済ガバナンス制度協力に積極的に参加する」ことを第12次五カ年計画に盛り込んだ。国内経済建設面では、漸進的改革を通じて自国経済の持続的で均衡ある、健全な発展を実現して、世界経済の安定維持に貢献すべく努力している。国際協力面ではG20の枠組みで様々な協力枠組みに積極的に参加している。作業部会レベルの実務討論から財務相・中央銀行総裁会議まで、どこにでも活躍する中国幹部の姿が見られる。このほか中国は国際組織への資金拠出、BRICS緊急準備基金の創設、通貨スワップ協定など、世界的危機の防備措置の整備にも積極的に参加している。また、保護貿易主義への反対、国際組織の公平な整備の強化、途上国の利益の重視など国際環境の規則・制度建設にも尽力している。 中国は内部能力を十分に強化するとともに、2国間、多国間の場を通じてG20建設に積極的に取り組んでいる。今回のサミットを前に、中米両大国の政府指導者は成果に富む非公式対話を行なった。続いて開かれた第5回中米戦略経済対話では多国間・国際的場での両国の協力を際立たせた。G20の枠組みでの中米協力は今後一層引き上げられると見られる。 中国はG20対話枠組みを経済発展における先進国と新興国の立場を調整する重要な場と見なしている。BRICSは慣例に従い、サミット前に打ち合わせの場を設け、重大な政治問題、G20での立場の調整、BRICS協力などについて話し合った。サミット前のこうした調整は、G20での新興国の発言力と影響力の強化に資する。
「人民網日本語版」2013年8月21日
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