G20サミット開幕間近 注目される今年後半の中国外交

大いに注目されるG20サミットが9月初めに開かれる。中国の習近平国家主席が初めて出席することに、国内外のメディアは強く注目している。猛暑の夏が終りを迎えるにあたり、中国の指導者が続々と外遊に出発するほか、五大陸の政府要人も続々と訪中する。今年後半の中国外交には注目すべき点が多い。中国新聞網が伝えた。

■G20サミット開幕間近 今年後半の外交には多くの注目点

中国の楊潔チ国務委員は8月中旬、習主席がG20サンクトペテルブルクサミットに出席し、ロシアのプーチン大統領との会談も行なうことを明らかにした。習主席就任後初のG20サミット出席であるうえ、半年足らずでのロシア再訪問でもあり、世界中が強く注目している。

G20サミットは9月初めに開かれる。中国国際問題研究所の曲星所長は中国新聞網の取材に、今回のサミットには習主席が中国の経済情勢についてどう述べるか、どの国の首脳と会談するかという2つの注目点があると指摘。習主席の会談の日程にも相応の外交上の考えがあると説明した。

中日首脳会談が実現するかどうかが、大いに注目される。日本側は日中双方は対話を行なうべきだと主張し続け、最近では「立ち話」を図るとの情報も出ているが、これについて中国側は態度を明確にしていない。中国外交部(外務省)は以前これについて、対話のスローガンをいたずらに叫ぶだけでは問題の解決にならないとして、日本側に過ちを正すよう促した。

露米関係では、オバマ米大統領がスノーデン事件などロシアとの一連の外交摩擦を受けて、プーチン大統領との会談を取り消した。こうした中、中米首脳会談が実現するかどうかが注目される。曲氏は「習主席とオバマ大統領は会談すべきだ。これは中国と大国との関係の良好は相互作用、中米関係の重要性を具体的に示すものとなる。習主席は欧州のいくつかの国の首脳とも会談すべきだ」と指摘した。

「サミットは今年後半の中国外交の重要な注目点だ」。中国人民大学国際関係学院の金燦栄副院長によるとG20サミット後、上海協力機構サミットもすぐに開かれ、習主席も参加すると見られる。

今年後半にはAPECサミット、国連総会、ASEAN関連首脳会議、中国・ASEAN博覧会も開かれる。中国上層部はこれらの会議に出席し、中国の主張を明らかにし、発展途上国の利益に沿った国際秩序の前進を推し進める。今年は中国とASEANの戦略的パートナーシップ構築から10周年にあたるほか、広西チワン族自治区南寧市で開催される中国・ASEAN博覧会も10周年を迎える。中国がASEANとの関係の将来をどう計画するかは注目に値する。

■外国政府要人が相次ぎ訪中 中国外交の道筋は明確

18日から22日までのわずか5日間にケニアのケニヤッタ大統領、メキシコの閣僚訪中団、ニュージーランドのマッカリー外相、ジャマイカのシンプソン=ミラー首相、アルゼンチンのブドゥー副大統領、ソマリアのフォージア外相兼副首相など各国政府要人が相次ぎ訪中した。アジア、欧州、アフリカ、米州、オセアニアの世界五大陸に及び、その多くが発展途上国で、中国とは地理的に遠いことが注目される。これは幅広く交友関係を持つ中国の外交理念の表れだと指摘される。

ケニヤッタ大統領の訪中は両国の国交樹立50周年とちょうど重なる。半年足らずの間にザンビアのサタ大統領、モザンビークのゲブーザ大統領、エチオピアのハイレマリアム首相、ナイジェリアのジョナサン大統領など各国政府要人が相次いで訪中したことにメディアは注目している。

実はアフリカなど途上国との関係強化、発展は中国外交の包括的な視野の一部に過ぎない。今年3月以来、中国外交は良好なスタートを切った。

「中国外交はトップレベルデザインを非常に重視する。新指導部発足後、中国外交に新局面が生じた」。曲氏は「大国間関係はより緊密、活発になり、周辺の『温度』は下がり、途上国関係は開拓され、パブリック・ディプロマシーは世界中の注目をより浴びるようになっている」と指摘。「中国外交はすでに大まかなレイアウトを完成しており、非常に明確な構想を持つ。新たな構想に基づき、中国の指導者は今後の外交の道筋を明確にする、中国の夢、新型の大国間関係といった諸々の主張を打ち出した」と述べた。

外交学院の李海東教授は中国新聞網の取材に「中国新指導部の外交計画はすでに非常に整っている。現在必要なのは地に足のついた努力によって、計画を現実に変えることだ」と指摘した。

■中国外交はより高い目標に向かって進む力を蓄えている 最大の試練は周辺

金氏は「山積みの国内課題を前に中国外交は以前、足取りを少し緩めた。だが今年前半の動きからは、新時期の中国外交が向上心に富んでいることが見てとれる。これは今年後半も変わることはない」と指摘。「全体的に、新指導部は外交を非常に重視している。新時期の中国外交は特に全方位的だ。これは大きな必要性があってのことだ」と述べた。金氏によると、中国外交は「より高い目標に向かって進む時期」にあるため、意思疎通を一層図り、外部の障害を減らす必要がある。

李氏は「目下、国際体制の構築は過去を受け継ぎ今後を切り開く重要な段階にある。新指導部の外交体制は、こうした微妙かつ肝要な国際体制の転換の中で中国が自らの核心的利益を効果的に守る助けとなる」と指摘した。

今年後半、中国は米国との関係を中心に大国間関係に引き続き力を入れると見られる。今月中旬に中国の常万全国務委員兼国防部長(国防相)が訪米し、多くの共通認識にいたった。李氏は中米は軍事面の交流や協力を強化し続けると予測する。

「中国外交にとって最も主要な試練はやはり周辺だ」。李氏は「新たな情勢の下でアジア太平洋地域は以前にも増して複雑で、試練を抱える状況となる。アジア太平洋地域において中国外交は非常に重要かつカギを握るものであり、新指導部の外交的知恵が試される重要な議題でもあるはずだ」と指摘した。

「周辺外交は非常に重要であり、中国外交の4本柱の1つだ」。曲氏は「中国外交にとって最大のチャンスも、最大の試練も、最大の希望も周辺にある。最も問題が生じやすいのも周辺だ。現在焦点となっている一連の問題の原因は中国ではない。したがって、中国の周辺外交は『守るべき一線』の思考を堅持すべきだ」と指摘した。

昨年9月の日本政府による不法な「島購入」以降、中日関係は対峙状態が続いている。これについて李氏は「日本は現状に甘んじない国だ。右傾化が抑え込まれなかったり、憲法改正が最終的に実現したりすれば、中米および多くのアジア諸国を再び害するだろう」と強調。曲氏ら取材した複数の専門家は中日関係の現在の対峙状態はまだしばらく続くとの見方を示した。

 

「人民網日本語版」2013年8月27日

 

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