G20サミットでの中日首脳「立ち話」 中国は理で争うべき

 

共同通信社はこのほど、安倍晋三首相が9月上旬に開かれるG20サミットの期間中に、習近平国家主席と「立ち話」による接触を試みていると伝えた。この数ヶ月に渡り、中国は政府間の首脳会談を棚上げにするという手法により、安倍首相の中国包囲外交を推進する一方で、高村正彦自民党副総裁もしくは麻生太郎副総理の訪中により局面を打開しようという戦略を空振りにさせた。これにより日本は焦り出し、日本の世論からも疑問の声があがっている。「環球日報」が伝えた。

中国側の「日本無視」の政策により、日本は中日外交の重要性を認識し始めた。日本が今回提案したのは非公式の首脳会談であり、安倍首相はこれが拒否された場合も、世界に対して日本の日中関係改善の願いを強調できると考えている。

日本の右派との闘争の過程において、中国は戦略と戦術を重視しなければならない。しかし戦略と戦術は絶対的なものではなく、物事の大小によって異なる。中国と日本の右派の闘争は、3−5年間の戦略的任務であり、正式な首脳会談に対しては慎重かつ厳格な態度(必ず堅持するという原則)をとり、各条件が整うのを待つ必要がある。しかし非公式の首脳会談ならば、柔軟に対応すべきだ。G20サミットの期間中に、非公式の会談により日本に対して理で争うことを、検討してもよいのではないか。

非公式の首脳会談を開催した場合、二つの結果がありうる。一つは意思疎通を強調すること、もう一つは原則と毅然たる立場を強調し、理で争うことだ。歴史認識問題について、日本が釣魚島(日本名・尖閣諸島)の実効支配およびその国有化問題を強調し、冷戦時代の思考回路により中国包囲の外交を展開しようとするならば、事実を並べ理を説けばよい。これは実際には安倍首相を対象とするものではなく、日本国民を対象とするものだ。国家主席の発言には重みがあり、日本メディアと国民に衝撃を与えることができる。当然ながら4つの政治文書を順守し、東中国海を平和・友好・協力の海とし、危機管理メカニズムを形成するといった問題について、中日は会談により一定の意思疎通が可能だ。

中国国内では現在、安倍内閣の改憲や軍拡などの右傾化された言行が重視されているが、右派勢力の社会的基盤は堅固ではなく、表面だけの張子の虎に過ぎない。中国側の政策が妥当であれば、現状を変えることは難しくない。特に中韓の協力は日本の右派を悩ませており、一般人に対しても大きな影響を持つ。韓国は現在、日本への態度を強硬化させているが、これは理によって争う中国にとっても非常に有利だ。

安倍首相が高い支持率を維持しているのは、アベノミクスの短期的な効果によるものだ。しかしながら第2四半期の経済データは芳しくなく、経済の先行きが不透明で、中日関係の日本経済に与える不利な影響に関する議論が増加している。かつて中国は常に、「中日関係の大局はすでに定まっており、これ以上悪化することはない」とされていたが、これは楽観的すぎる。しかし現在、日本の右傾化を強調することで、一部の人は「中日関係はすでに対立段階に入った」としている。このような観点は悲観的過ぎ、これは政策の柔軟性の低下をもたらす。中日関係に関する戦術的思考は、戦略的思考に変えるべきだ。

原則を堅持し、毅然たる態度を持ちながら、同時に柔軟に対応し、積極的に理を説く。これは妥当なやり方だ。当然ながら、中日が正式な首脳会談を開催できるかについては、今後の事態の発展を見守る必要がある。(筆者:凌星光 福井県立大学終身教授、日中関係研究所所長)

 

「中国網日本語版(チャイナネット)」 2013年8月26日

 

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