宜興は誰もが知る「陶器の都」だが、実は「書画の都」でもある。これは、宜興出身の二人の20世紀画壇の巨匠に由来する。徐悲鴻と呉冠中だ。
中国の絵画は数千年にわたって情趣の表現に重きを置く「写意」の手法が中心だった。近代になって西洋絵画の「写実」手法が導入されたが、そこには徐悲鴻と呉冠中の大きな貢献があった。ふたりは早くに中国画を学び、ヨーロッパに留学して中国と西洋絵画の良さを結びつけ、多くの優れた現代画家を育てた。
徐悲鴻は多くの傑作を残しており、呉冠中の油絵は1992年に大英博物館に展示された。ふたりの宜興出身の画家は中国画壇に新たな活力を注入し、宜興という歴史ある町の新たな誇りとなった。
中国には「一方水土養一方人」(その土地ならではの環境が、その土地ならではの人を育てる)という言葉がある。宜興という土地はここで暮らす人々に勤勉で誠実な性格と創造する智恵を与えてきた。現在、宜興では陶芸のほかに、観光産業や環境保護方面の発展もめざましい。この土地が人々に与えた勤勉さと智恵が、宜興が不断に発展する活力となっているのかもしれない。 |