27歳の林士達さんは市場調査や企業PRなどが専門の北京睿博縦横公関顧問有限公司の英語通訳だ。会社は北京市内東部の商業エリア・SOHO現代城にある。一方、彼が住んでいる賃貸住宅は市内中心部に近い。ウイークデーの朝晩、家と建国門外の会社を行き来する通勤路では、自転車にまたがって走る彼の姿を見ることができる。
真夏の北京の炎天下、自転車をこぐと汗は背中にまで流れる。クーラーの風がさわやかな高級車で通勤するのとは大違いだ。林さんは高給取りなので、車を買うのは大したことではない。しかし、米国からの「帰国子女」は現在の生活を大いにエンジョイしている。人口2000万人、車の数は400万台に上る北京では、朝夕の通勤ラッシュの時間帯は道路という道路はまるで巨大な駐車場と化してしまう。
渋滞している道路では、動きが素早い自転車の方がしばしば車より先に目的地に到着する。さらに、林さんは毎日10時間近く会社で仕事をしているために、運動する時間が取れない。自転車通勤は運動不足解消の役割も果たしている。環境保護に貢献し、体力増進にも役立っているのだ。
会社のビルで、林さんはエレベーターが空いていても乗らずに、階段を使うことにしている。また、家では水洗トイレの水槽にレンガを一つ入れてある。こうしておくと、毎回流すたびに約1リットルの水を節約できる。また、冷蔵庫を除くすべての電化製品の電気は使わない時には、プラグを抜いて、完全に切ってしまう。「家電は使っていないときもわずかに電力を消費しています。私のやり方は節電にもなるし、防火にもなりますよ」と林さん。
林さんは大学時代、万里の長城のゴミ拾いボランティアに参加したことがあり、その時、長城の上空を白いビニール袋が飛び交っているのを見た。その光景が今でも心に焼き付いている。その後、林さんは、バックパックに布袋を一つ入れておくことにした。スーパーで買い物をするとき、ビニール袋を使わないためだ。普段から、友だちや同僚がゴミをポイ捨てするのを見ると、注意し、ゴミを拾いに行かせる。
林さんと話していて、彼が外向的で自分に忠実な性格であることが分かる。そして、他人の眼を気にせず、正しいと思った主張は変えようとしない。林さんのこうした行為は時に一風変わった人だと思われたり、米国に2年留学している間に西洋かぶれしたのだと言う人も少なくない。しかし、林さん自身は、一種の生活習慣だと思っており、子供のころから持ってきた環境に対する考え方だ。つまり、人間も自然の一部なのだから、先ず、自然を尊重しなければならないということだ。「低炭素社会」を目指すには、自らCO2排出を減らした生活を続けると同時に、自分が持っている理念をまわりの一人一人に示し、一人でも多くの人に勧めなければならない。
人民中国インターネット版 2013年9月
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