JICAと日中友好環境保全センター(以下「環保センター」)は、2008年~2013年の予定で「循環型経済推進プロジェクト」を実施しています。経済成長に従って資源消費が増加している状況を踏まえ、経済成長と環境の両立、とりわけ資源の減量化や、再利用・資源化を推し進めるために、中国政府は2008年に「循環経済促進法」を制定しました。この法律の着実な実施促進を目的に、本プロジェクトが実施されることとなりました。
本プロジェクトでは、「資源投入」、「生産から廃棄」、「処分」に係る一連のサイクルに沿って、循環型経済推進のための課題を、1)環境に配慮した事業活動の推進、2)国民の環境意識の向上、3)静脈産業類生態工業園(エコタウン)整備の推進、4)廃棄物の適正管理の推進の4つに分類した上で、各課題を解決するために必要な諸施策の実行能力強化に向けた協力を展開してきました。
本プロジェクトを通じて、「企業環境情報公開ガイドライン」、「企業環境報告書ガイドライン」、「エコタウン推進ガイドライン」、「ダイオキシン類簡易測定法に関する技術マニュアル」等、今の中国の環境行政に不可欠なガイドライン等が作成されました。
企業監督員制度
本プロジェクトの特筆すべき取り組み一つとして「企業環境監督員制度」が挙げられます。企業環境監督員制度事業は、日本の「公害防止管理者制度」を中国に導入する試みであり、各工場からの廃棄物量をモニタリングすることを通じて、大気汚染や水質汚染削減を図るものです。本プロジェクトでは、この他にも、産業廃棄物の再利用を複数の工場間で行う「エコタウン制度」に関する国家計画の策定等、中国における環境政策の策定に貢献してきました。
本プロジェクトが2013年10月に終了予定であることを踏まえ、先般、日中共同でプロジェクトの進捗・達成度を確認しました(終了時評価)。評価メンバーは、環境問題には国境がないことを改めて確認した上で、環保センターには、引き続き日中両国政府、民間企業、研究者、NGO等と積極的に連携しながら、日中環境協力のプラットフォームとしての機能を発展していくことを期待すると話していました。JICAとしても、このような取り組みを後押しして行きたいと考えています。(JICA中華人民共和国事務所 より)
人民中国インターネット版 2013年9月
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