昨日、北京で中国国際貿易促進委員会と日中経済協会共同主催の中日大気汚染防止シンポジウムが開催された。中国国際貿易促進委員会の張偉副会長と日中経済協会の岡本巌理事長のほか、日本の企業22社と多数の中国企業の代表が出席した。
現在、中国の急速な経済成長に伴い、環境問題が深刻化している。中でも大気汚染は広範囲かつ人体に最も悪影響を及ぼす問題として注目を集める。北京や天津、河北省の3地域、そして長江デルタや珠江デルタなどの地域は、人口密度が高く、自動車や工場が多いため、大気汚染が特に問題視されている。国民経済の発展と環境保全の両立を図るため、中国政府と地方政府は次々と政策を打ち出し、この問題の解決に取り組んでいる。こうした背景の下、民間レベルで中日大気汚染防止シンポジウムが開かれたことは意義深いことである。
張偉副会長は冒頭の挨拶で、「深刻化する大気汚染問題に対して、国と地方政府が政策を打ち出し、具体的な目標を立て、問題の解決に乗り出している。しかし、この問題は非常に複雑で、日本との協力が不可欠だ。今回のシンポジウムに参加した日本の22社には、鉄鋼、自動車、電気、環境などの分野で先進的な技術を有する企業であり、長年蓄積してきたノウハウを中国の企業と共有してもらいたい」と今回のシンポジウムの重要性を語った。
岡本巌理事長は挨拶の中で、「日中経済協会は日中国交正常化直後に成立し、環境保全を軸に中国と協力を続けてきた。ここ数年は中国の改革発展委員会や商務部、日本の経済産業省と共同で日中省エネフォーラムを行っている。今の中国の現状を見ると、高度成長期の日本を思い出す。法整備、生産プロセスにおける日本のノウハウを中国に吸収してもらい、中国の大気汚染問題解決の力になれれば」と、環境分野での日中協力の回顧と今後の展望を述べた。
挨拶の後、かつて「粉塵日本一」の北九州市と川崎市の代表は環境問題の解決における行政と企業、そして個人の役割、またそれぞれの連携の重要性を重点に置いて1960年代の大気汚染問題の解決の道を回顧した。その後、自家用のエアコンから土壌で空気を清浄するシステムまで13社の代表はそれぞれ自社の製品や技術などを中国の企業に解説した。13社の中で9社は中国で事務所もしくは子会社を設立し、中国での事業を早くから展開してきている。そしてこの9社の中で6社の代表は中国語で説明したことから中国市場に対する日本企業の関心度が伺えた。
今回のシンポジウムは中国企業にとっては日本企業の先進的な技術に触れる絶好の機会であろう。「日本は進んでいる環境技術を持っており、かつて環境汚染を経験したこともある。現在の中国は高度成長期の日本のように、経済成長によって環境問題が深刻になっており、日本の轍を踏まないように、日本の企業と協力し、日本企業のノウハウを学ぶのは一番手っ取り早い方法だ」という参加した中国企業の代表の声があった。
今回のシンポジウムは3時間しかないが、これをきっかけに環境分野における中日協力を拡大すれば、両国の企業や人々にとってはよいことではなかろうか。
「中国網日本語版(チャイナネット)」 2013年9月11日
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