周辺諸国と共同利用を

中国は海洋国家として急速に発展し、また海洋は中国が国際協力を推進する上で重要な領域でもある。一部の周辺国との間に海洋開発をめぐって係争問題があるが、中国は終始、周辺各国、国連機関との協力強化の進展を願っている。そうして、意見の相違、係争問題を解消し、人類の海底資源の平和利用と筋道の通った開発を協力して促進したいと願っている。

ASEANとの相違解消

中国の王毅外交部長(外相)は今年3月の就任以来、集中的に東南アジア諸国連合(ASEAN)の多くの国々を歴訪している。8月1日にはタイで開催された中国—ASEANハイレベルフォーラムに臨み、中国—ASEANの戦略的パートナーシップ構築10周年記念行事に参加した。王毅外相は歴訪の狙いを、両者間のチャンネル強化、共通認識の拡大、相違の適切な処理に定めていた。中国と一部のASEAN加盟国との間には南中国海問題をめぐって相違があることは否定できないが、中国とASEANとの協力関係は、常に良好な状態を保持している。

今年5月2日 ジャカルタのASEAN事務局で黎良明事務総長と握手する王毅外交部長(左)(新華社)

例を挙げると、中国はタイ、インドネシア、スリランカ、マレーシアなどと海洋分野に関する二国間協力文書に調印している。また中国国家海洋局はインドネシア海洋・漁業省とジャカルタに中国・インドネシア海洋・気候センターを建設し、タイとはプーケットに中タイ気候・海洋エコシステム共同実験室を設立した。中国の国家海洋局と教育部(日本の省に相当)は共同で「中国政府海洋奨学金制度」を設け、南中国海周辺海洋国家のために優秀な海洋人材を育成している。今年は20人から25人の途上国の海洋学者に中国での研修機会を提供するために、予算を200万元(1元は約16円)まで増額する計画だ。

この他、中国はインドネシア、タイ、マレーシアなどの各国と季節風観測、海洋と大気の相互作用、海洋エコ保護、海洋バイオ技術などの領域における双方協力プロジェクトを展開している。国家海洋局国際合作司の張占海司長は南中国海周辺国家の発達レベルは均一ではなく、将来、各国の実情に応じた「ブルーエコノミー」の発展モデルを構築すべきだ、と語る。さらに海洋災害防止、防災技術の交流と情報の共有、海上航行、経済活動にかかわる環境予報などの分野での対話と協力の強化が必要だ、と述べた。

影落とす昨今の中日関係

中国は日本、韓国とも海洋経済で多項目の協力を行っている。特に、山東半島は日韓両国とともに半径1500㌔の黄海を囲むという地理的な優位性を生かして、日韓との経済協力を推進している。煙台市を例に取ると、昨年末時点で、日韓両国との海洋経済における協力プロジェクトは71項目に及ぶ。主なものを挙げると、造船、港湾設備、水産養殖加工、臨港物流、遠洋漁業などだ。この中で総投資額が1000万㌦以上のプロジェクトは6つあり、韓国の大宇造船海洋公司、蓬莱SREAL重工、永和重工、煙台渤海国際フェリー、煙台東方精工船舶部品有限公司と日本の蓬莱汇洋食品有限公司。

海南省で開かれた2013年博鰲(ボアオ)アジアフォーラム。各国指導者のほかに、43カ国・地域から2500人が参加(新華社)

この他、中日韓自由貿易区(FTA)交渉の進展に合わせ、煙台も港湾の優位性を生かして、中日韓の地方経済協力のモデル地区を建設中だ。この6月、煙台保税港区と韓国の仁川港湾公社が共同発展戦略に関する協力協定に調印し、中日韓FTAの先行実施を試み始めた。2008年、青島に保税港区が建設された当時は、外部では青島を中日韓FTAの最初の実験区と見なしていた。煙台保税港区は後塵を拝するわけには行かない、とFTAへのモデルチェンジを急ぎ、韓国側と港湾、物流、貿易などの各方面で協力事業を展開した。また、威海、潍坊、日照、東営など山東半島のブルーエコノミー地域の沿海都市は各自の発展計画を打ち出し、将来の海洋経済協力事業で先手必勝を期している。遺憾なことに、昨今の中日関係の影響を受けて、目下、山東半島と韓国企業との協力関係の活躍度は日本を大幅に上回っている。各地方政府は中日関係が温かさを取り戻し、日本側との交流、協力が拡大することを望んでいる。

 

 

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