7月22日、組織再編で誕生した「中国国家海洋局」の表札が正式に掲げられた。同時に、14年間掲げられてきた「中国海監総隊」の表札が外され、新たに「中国海警局」の表札に掛け替えられた。国家海洋局の劉賜貴局長は、「国家海洋局の再編は、中国海洋事業の発展史において、節目となる出来事であり、中国の海洋管理体制と業務メカニズムに歴史的な転換が生じたことを示している」と、語った。
「九龍治海」の非効率反省
今年3月、第12期全国人民代表大会(全人代)第1回会議で可決された「国務院機構改革・職能変更法案」に基づき、海上の法執行機関を統一し、執行効果を向上させるために、旧国家海洋局、公安部など多機関にまたがっていた法執行機関を一元化して、国土資源部の管理下においた。
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再編された国家海洋局のビル |
再編前は、中国の海洋管理職能は部門別に実行され、法執行の重複、非効率などが長い間、問題視されてきた。中国の海洋管理は「九龍治海」、つまり「九匹の龍が海を治めている」と皮肉られていた。公安部の「海警」、交通部の「海事」「海救」、農業部の「漁監」「漁政」、国土資源部国家海洋局の「海監」、税関総署の「密輸取締局」「国境警備派出所」と「捜索救援センター」を合わせて9機関だが、この他、沿海の県・郷政府もそれぞれの立場で海洋を管理していた。
こうした分散管理体制が海洋権益の保護と海洋資源の開発、利用を著しく制約してきた。
明確になった責任と権力
国務院が発表した新しい国家海洋局の職能計画によると、新国家海洋局の主な職責は、海洋発展計画を策定し、海域の使用と海洋環境の保護などを監督・管理する。同時に、国家海洋局は中国海警局の名で、公安部の業務指導を受け、海上権益維持の法を執行する。
これは中国が「海洋強国」戦略を推進する上で重要な位置を占めるトップ・デザインで、海洋経済の推進と海洋権益の擁護を目的とするといわれている。
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今年4月11日、ボアオ・アジアフォーラム年次総会出席の際、海軍駐三亜部隊を訪れ、 「井岡山」艦上で艦載ヘリのパイロットと握手する習近平国家主席(中央)(新華社) |
現在、世界で20カ国がすでに海洋発展戦略を発表している。3月に開かれた全人代で傅瑩報道官が語ったように「中国がさらに対外開放、世界との融合を進めるためには、海洋建設の強化が不可欠だ」。 「海洋問題は総合的に見なければならない。生産力の発展が生産関係の変化を伴わざるを得ないように、海洋経済の発展から海洋権益の擁護まで、海洋科学技術の向上から海洋環境の保護まで、中国は大局的な立場から海洋を管理するさらに高次元で統一的な計画性、総合的な協調能力を持つひとつの機関が必要だ」と王暁鵬氏は力説した。
国家海洋局の再編は、中国が海洋覇権を追求し、隣国に脅威を与えるためではない。また中国が海洋強国を建設する目標は世界各国の目標と一致し、これからも各国との共通利益の合流点を探求し続ける。
着手が遅く今こそ成長期
米国、英国、日本などの国々と比べて、中国の海洋経済は着手が遅く、GDPに占める割合も少なく、今まさに成長期に入ったのだ。同時に、われわれも海洋エコ文明建設の厳しい試練に直面する。例えば、海洋産業構造の非科学性、沿海産業の配置の不合理、海洋開発方式の粗放性などが挙げられ、海洋エコ文明の建設任務は依然として、非常に困難だ。
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国境警備、海事など多くの部門がパトロールしていた浙江省舟山の沈家門漁港(新華社) |
海南海事局は効率的な海事サービスに努め、海南省の海洋経済発展を支援(新華社) |
2001年、国連の正式文書で初めて「21世紀は海洋世紀」と明記された。そうした時流から見ても、新国家海洋局は大きな意義を持ち、文字通り「任重道遠(任重くして道遠し)」と言えよう。
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