港湾都市から臨海都市――劉鳳海錦州市市長インタビュー

 

「沿海の港湾都市」から「新しい臨海都市、錦州」へと、錦州は一歩一歩海へ向かって歩みを進めてきた。2009年、遼寧沿海経済ベルト地帯の開発・開放が国家戦略に格上げされ、「渤海の有名都市、海岸の錦州の建設」構想により、錦州市は海を利用して、経済を発展させる道を探求し始めた。このことについて、劉鳳海錦州市市長にインタビューし、錦州市の海への発展という未来図について語ってもらった。(聞き手=張雪)

――今年開催された錦州世界ガーデン博覧会は、初めて「海洋」をテーマとしたガーデン博覧会で、さらに今年の世界海洋デーのイベントも錦州市で行われました。これらによって、錦州=内陸都市というイメージが変わることとなりましたが、こうしたイベントの開催は、錦州市にとってどんな意味があるのでしょうか。

劉鳳海市長(以下劉と略) 2013年に中国・錦州世界ガーデン博覧会と世界海洋デーおよび全国海洋アピールデーの祝賀大会が開催されたことは、錦州市の都市イメージを作りあげ、観光業を勃興・推進し、現代サービス業の全面的アップグレードを促進し、経済発展の高速成長を促し、さらに地域の価値を大幅に引き上げ、市民の都市に対する誇りを呼び起こし、都市の現代化・国際化の足取りを速め、全国および世界での知名度と名声を高めたことに、重大な意味があったと思います。さらに重要なのは、この二つのイベントを通じて、錦州の人々の海洋や開放に関する意識がさらに強まり、海へと発展することに対する確信と決心がよりいっそう固まったことです。

――最近、錦州は「海へ向かう発展」という発展理念を唱えています。なぜ、どういった考えから、このような理念を唱えることになったのでしょうか。

劉 錦州は古くから発達した工業地帯であり、かつては遼西省(1949~54年にあった省)の省都として知られていて、昔から商人が集まり店舗が林立する、地の利に非常に恵まれた商業都市でした。改革開放初期に行われた旧工業地帯の調整・改造の影響により、遼西省のほかの都市と同じように、錦州市も経済の発達を欠く地域とまで言われるようになりました。錦州は沿海都市でしたが、内陸とのつながりがあまりに強かったため、それが海洋経済発展の歩みを鈍らせていたのです。

東北の旧工業基地の振興と遼寧沿海開放戦略が本格的に実施されるに従って、遼寧沿海経済ベルト地帯の「渤海の翼」の重要な支点として、錦州は千載一遇の好機を迎えました。代々の錦州市の指導者たちは、沿海発展戦略を確固として実施し、海へ向かい、海と一体化することで、海への発展という華麗な転身を遂げ、海に活路を見い出す錦州の特色ある科学的発展の道を実現したのです。適度に先行的なインフラ建設により、錦州の中心地区と沿海地区、遼寧沿海経済ベルト地帯の各都市とをさらにすばやく便利に結びつけ、これは錦州の海への発展の実現にさらに有利な条件となりました。

――錦州が海洋経済を発展させるにあたって、資源と立地においてどのような強みがありますか。また、これからの海洋経済の発展の重点はどこにありますか。

劉 遼寧省錦州市は南に渤海を臨み、東北地方と華北地方を結ぶ交通の要地にあり、遼寧省西部の中心都市でもあり、環渤海地域の重要な港湾都市でもあります。市内には国家クラスの開発区が一つ、省クラスの開発区が二つあり、遼寧省唯一の全国加工貿易傾斜移転の重点受け入れ地でもあります。

沿海にあるということは錦州にとって最大の強みで、最大のポテンシャルでもあります。目を海に向けたことによって、錦州は「土一升金一升」と言われるほど貴重な沿海部の土地を400平方㌔も増加させることができ、海洋漁業、海洋交通・運輸、海洋観光、海洋バイオ製薬などの海洋関連産業が、強い成長の勢いを見せています。2012年、水産品生産量が37万5000㌧に、漁業生産高が29億9000万元に達しました。現在、投資総額が40億元にも及ぶ龍栖湾連衆(錦州)海洋科学技術産業パークプロジェクトが全面的にスタートし、海洋エンジニアリング設備、石油化学エンジニアリング付属設備、海洋バイオ製薬などを重点産業として発展させる予定です。世界の海洋都市との交流・協力も積極的に拡大してゆく予定で、日本企業の投資も心から歓迎します。錦州が持つ立地と資源の強みが、日本の人材と技術に結合すれば、必ず錦州沿海経済ベルト地帯で実りある成果をあげ、双方に利することになることでしょう。

――海洋経済発展の過程では、どのような問題にぶつかりましたか。また、市政府は海洋経済発展をサポートするために、どのような措置をとっていますか。

劉 錦州は海洋経済発展である程度の成功を収めましたが、全体規模が小さく産業集中度が高くないという問題は、いまだ存在しています。今後、錦州はガーデン博開催などの大きなイベントの社会的反響を10分に生かし、錦州港湾地域の機能アップ、龍栖湾新港区の建設、「2億㌧」規模の錦州湾建設を急ぐつもりです。さらに、錦州湾空港を建設して空路を確保し、一般航空産業と臨空物流産業の発展にも力を入れます。臨海道路を軸とし、臨空・臨港経済と海洋経済というブルー産業発展ベルト地帯を造り上げるのです。

――海洋経済発展と海洋エコ保護の関係について、どのようにお考えでしょうか。海洋資源開発の過程で、錦州はどのような海洋エコ対策を行っていますか。

劉 経済発展を加速すると同時に、われわれは開発と保護を共に重視するという理念を堅持し、人と海洋の調和的発展の道を歩み続けようとしています。今後、われわれは常に投資構造の改良を進めながら、投資の質と効率を高め、低レベルの建設を断固として防いでゆかねばなりません。そして、海洋環境の総合的管理に力を入れ、海洋災害への対応能力を強め、計画的な海洋利用、集約的な海洋利用、エコロジーな海洋利用、科学技術による海洋利用、法律にそった海洋利用を厳守しながら、海洋経済の持続可能な発展を促進させてゆかねばなりません。さらに、全市民の海洋保護意識を高め、国や省が許可した錦州沿海地区・海域の機能区計画を断固として実行し、各保護プロジェクトを厳格に実施し、環境評価を厳格に進め、海洋機能区計画によって投資誘致プロジェクトを進めてゆきます。また、対外交流を拡大し、世界の海洋都市の海洋資源の保護・開発・利用、海洋科学技術の運用などの先進的理念と経験、方法から十分に学び取り、錦州をさらに美しくする努力をしてゆきたいと思います。

 

 

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