青島が育む海洋経済の夢

文=沈暁寧

美しい山東省の海浜都市・青島は、ヨーロッパ風の歴史的な建築群、芳醇なビール、美味の海鮮料理で有名なだけでなく、その都市経済の発展モデルと規模の面でも注目されている。中でも、北京五輪(2008年)で使用したヨット競技場のモデルチェンジと、今まさに力強く発展している海洋経済-ブルーエコノミーのふたつが青島経済を特徴づけている。

五輪施設を有効に再利用

北京五輪開催中、青島はヨット競技場として、完備された施設は国際社会の賞賛を浴びた。当時、青島では「五輪は青島によって精彩を増し、青島は五輪によって輝いた」という言い方が流行った。あれから五年、ヨット競技場だった五輪ヨットセンターは閉幕後荒廃するどころか、国際的なヨット競技の重要な競技場として、また中国のヨット種目の訓練基地として、さらに観光地として発展し続けている。

「世界各地で数多くの五輪競技施設を見てきたが、青島のセンターは五輪閉幕後の再利用が最も優れている」と、青島都市建設集団の卜笑華副総経理は高く評価している。実際、同センターは設計、建設段階から、すでに五輪閉幕後の再利用の準備を進めていた。五輪閉幕から一カ月足らずで、同センターはまず観光資源として、内外の観光客を受け入れた。その後、青島都市建設投資集団は30億元(当時、1元は約13円)を次々に投資し、同センターの内部にあった選手用施設を五つ星クラスのインターコンチネンタルホテルに改造した。またサービスセンターは飲食店や娯楽施設に貸し出し、管理棟は航海スポーツ学校に、プレスセンターはレジャー・マリンクラブに衣替えし、防波堤はロマンチックな雰囲気が漂うバー街に変身させた。

同センターは建設から八年経った現在、五輪施設から国際的なヨット競技場と水上スポーツ訓練場、海浜レジャー、クルージング観光地を一体化した海洋スポーツ、観光の総合センターに変貌している。

卜副総経理が言うには、同センターは毎年6000万人の観光客を迎え、経済収益は7000万元(1元は約16円)を上回り、青島経済に対するけん引効果は域内国内総生産(GDP)の4.5%を占めている。

ブルー・シリコンバレー

青島の地場産業といえば、誰しも青島ビールを思い浮かべるに違いない。確かに、ドイツの技術で製造し、百年の歴史を誇り、芳醇な味わいのビールは早くから世界的なブランドになっている。しかしコハク色の青島ビールの背後で、ここ数年、ブルーの経済力が上げ潮のように、急速に青島経済を支える支柱型産業に成長している。それが、海洋バイオ医薬の研究開発、海洋新エネルギー、海水総合利用、海洋新素材を主とした青島海洋経済なのだ。

統計によると、青島海洋経済の付加価値は2009年の665億元(当時、1元は約14円)から2012年には1114億4000万元(当時、1元は約15円)へと飛躍的に増加している。目下、青島の1人当たりGDPはすでに1万㌦を超え、中等先進国の水準に達し、海洋産業の域内GDPに対する貢献度は26.9%に伸びている。

青島の市街地の東北に位置する218平方㌔の沿岸地帯が静かに動き始めている。ここが青島海洋経済の「一谷両区計画」-「一谷」は「ブルー・シリコンバレー(中国語は硅谷)」、「両区」は西海岸経済新区、紅島経済区-における「ブルー・シリコンバレー」だ。中国とシンガポールの共同設計によるこの海洋経済産業区は海洋科学研究のニューシティーの容貌を見せ始めている。

「ブルー・シリコンバレー」は隣接する5つ小村から成り、70万人を収容できる。そのうち就業人口と用地面積のそれぞれ40%が海洋科学技術の研究開発にかかわっている。中国唯一、世界で注目を集めた国家級の海洋実験室と深海探索潜水艇「蛟龍」の母港もここにある。

総投資額6000億元余の「ブルー・シリコンバレー計画」は年内に道路、交通アクセスの整備を終え、2020年に完成の見込みだ。

ブルー・シリコンバレー管理委員会は「企業も人材・ノウハウも誘致(招商引智)」の理念を掲げて臨んでいる。従来の「企業と資金を誘致(招商引資)」とは、中国語でわずか一字違いだが、この計画の意義と将来性を明確に感じさせる。同時に、同委員会は海洋汚染を引き起こす企業は受け入れず、青島の海洋経済を真の「ブルーエコノミー」にすることを、特に強調していた。

 

 

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