「日本企業はこの地域に四つの魅力を感じています」

 

――重慶は日本企業にとってどのような具体的メリットがありますか。 

企業から見た場合、一つは人件費です。やはり上海などに比べるとここのほうが何割か安いようです。もう一つはそれにも関係しますが人材です。他の地域に比べ楽に人材が採用できます。三つめは両江新区に税制の優遇措置があることです。そして四つめには交通ですね。長江の水運や空港の空輸、高速道路、鉄道の陸運など物流を支えるインフラ面が非常に充実しています。

――今、中日関係は困難な状態にあります。中国にある日系企業やその本社からは、もう中国でのビジネスは止めようという声があるとも聞きます。重慶の状況はいかがですか。

去年の9月以後、ここで生活し仕事をしている人たちは、もっとビジネスを進めたい、新しいものができるのではないかと日本の本社に進言しても、本社からは、ちょっと待てと言われることがあるようです。本社では、日中関係が難しいので本当に大丈夫かと非常に慎重になっているのですね。現地と本社の間で温度差があって、難しい面もあるようです。ただ、そうは言っても、さきほどご紹介した両江新区のプロジェクトは去年の9月以降も日中間で着実に協議を続け、今年の2月に合意に達しました。日本企業は重慶で、表向きな派手さはなくても、着実に仕事を進めていると言えます。

――総領事館にはビザの申請に訪れる中国人もいるわけですが、この地域から日本に旅行に行く人は多いのでしょうか。

中国の方が日本に行かれる場合、大部分は団体旅行ですが、昨年9月以降これが激減しました。今年の春節になって、日本行きの団体旅行が少し出てきて、ビザの申請も少し増えました。前年にははるかに及びませんが、1日に5、600人が申請することもありました。この夏は、昨年の半分程度になっています。別の話になりますが、ご紹介したいのが最近見られる日本に行く小学校の修学旅行です。1週間ほどの日程で日本を訪れますが、日本で見たり聞いたりした事は、きっと家に帰ってご両親や友だちに話すでしょう。子どもたちが、日本がなかなかいい国だなと話したら、人々の日本に対するイメージも少し変わっていくと思います。私たちとしては、たとえ短い期間でも、一人でも多くの重慶の人たちに実際日本に行ってよく見ていただきたいと思います。日本には良いところも悪いところもありますが、現実の日本はどういうところなのかと、自分の目で見ていただきたいものです。そうしたものを積み重ねることによって、人々の日本に対する理解が深くなるはずです。逆に、日本の人も自分の目で中国を見れば、中国のいろいろな面を知ることができ、それを積み重ねることによって、相手をよく理解できるようになるでしょう。(聞き手=于文)

 

人民中国インターネット版

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