雑誌情報を超える速度で変化

 

 

梶山静輝 さん(50) 裕子 さん(40)

 静輝さんは自動車関連部品のデザインを仕事にしており、自動車市場が急速に拡大中の上海にデザイン部門を設立するために2003年にロンドンから上海に赴任してきた。それから約10年、当初数人だったスタッフは30人以上になっており、海外生活も通算で20年を上回った。その間、海外経験の豊富なお二人は上海の急速な変化をつぶさに見てきた。

――この10年の上海の発展ぶりについてどのように見られていますか。

静輝 よく言えば、経済は理想的に伸びているなと思いますね。私の仕事に関して言えば、自動車市場が急速に拡大し、世界の各メーカーが進出して人主義だと言われますが、意外にキーになる人物のネットワークを持っており、SNSなどを活用し上下関係を越えて情報交換をする一面もあります。

――国際経験豊富な梶山さんから見て、中国式の経営や働き方はどうなのでしょうか。

静輝 全体で情報を密に分かち合って、常にコミュニケーションを取りながら正確な答えを出そうとすると、少しアバウトなところがあります。私たちもコミュニケーションの精度を上げる取り組みを経験したので分かりますが、「日本ではこうやっているから」と押し付けるのではなく、国際的に仕事をしてきた経験に基づいて、自分がどう考えているのかを話すことが必要だと思います。また、こちらの人は個人主義だと言われますが、意外にキーになる人物のネットワークを持っており、SNSなどを活用し上下関係を越えて情報交換をする一面もあります。

――生活面ではいかがでしょうか。

静輝 確かに空気が良くないことはありますが、基本的に生活は快適だと思います。最近ではレストランのレベルも上がり種類も豊富になっています。来た直後は、ロンドンに比べても数段本格的な日本料理が食べられるだけでなく、掘りごたつのある居酒屋のような庶民的な店もあることに感動しました。日本が近いことを感じましたね。

裕子 今では、日本の有名な和食店が上海に店を出すように、ヨーロッパのレストランがこちらに出店するケースも増えています。新しいところができると試しに行ってみるのですが、オープンしたてはシェフの腕もマネジメントもしっかりしています。それを長く維持していけるかどうかがポイントになってくると思いますね。います。このため、外資系メーカーとの打ち合わせは主に英語で行い、国内メーカーとは中国人スタッフが中国語を使って説明するなどの形でビジネスを進めています。

――ロンドンから来られると、上海は趣味や文化面で物足りなくありませんか。 

裕子 ロンドンではミュージカルをよく見に行っていました。上海では無理かなと思っていたのですが、最近は有名なミュージカル作品や、クラシックのコンサートなども行われています。昨年、中国語版の『CATS』も上演されましたが、とても良かったですよ。小さな会場で行うような舞台芸術はまだ発展途上という感じですが、それでも芸術を支持する人、見たいという人が増えてきているのを感じます。

――日本から友人が来られた時など、どういったところに案内されていますか。

静輝 初めての方にはやはり外灘(バンド)は喜ばれます。以前からバンドの歴史的建築を利用したレストランやバーが人気ですが、最近では各所にユニークな店が登場しています。例えば、大名路のハイアット・オン・ザ・バンド・ホテルのバーは夜景も美しく、若者たちに人気です。 

裕子 上海では、この間まであったはずの店がなくなっていたり、違う店になっていたりというのは日常茶飯事です。誰かを案内する時には、必ず事前にチェックします。年1回発行のガイドブックどころか、月刊の雑誌でも情報が追いついていないことがあるほど、変化が激しいのです。(聞き手=井上俊彦)

 

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