重慶市内をクルマで行けば、時にビルの間を突き抜けているように、時にビルの屋上を駆け回っているように、またある時は都市の底辺にたどり着いたように感じる。初めて重慶を訪れた人は、霧の中に隠れたり、突然目の前に生き生きと現れたりする景観が、常に上下動の感覚を持つことに混乱するが、それはここが「山城」だから起きることだ。
重慶の人は「山は都市、都市は山」とこの都市を形容する。重慶の市街地は山に拠って形成されており、道路の高低はさまざまで、建築物は極めてふぞろいで、独特の趣がある。重慶は中国で最も大きく最も有名な山城なのだ。中心市街地となる渝中半島を例に説明すると、長江と嘉陵江の合流点・朝天門の標高は168メートルだが、ビジネス中心地の解放碑地区は同249メートルとなっており、面積9平方キロの半島で最も高い場所は400メートルに近い。この高低差が人に重慶の道路がみな複雑に曲折しており、重慶のビルはどれも雲をつくようだと感じさせるのだ。 |