三中全会 新機構設立で決意示す

 

三中全会コミュニケは、ふたつのハイレベル機構、「改革指導チーム」と「国家安全委」の設置決定を明らかにした。この決定から、改革開放政策の継続的実行のみならず、改革の「全面的な深化」に力を入れる決意を読み取ることができる。

《改革指導チーム》

コミュニケでは「改革指導チームは改革の全体設計に責任を持ち、総合的な協調を図り、全体的に推進し、結果を出す」とその任務を定義している。

一九八〇年代に、国家経済体制改革委員会を設置しているが、今回、さらに改革の専門機構を党中央の最高レベルに設置したということは、単に経済改革の推進だけでは不十分であり、政治、経済、社会などの全面的な改革段階に入っていることを示している。中央に指導チームを発足させるのは、改革を全面的に深化させるための組織上の保証と言える。

中央社会主義学院の王占陽教授は次のように分析している。現在、改革の最大の障害は既得権益であり、各部門に改革案を提示すると、それぞれが利益温存に走ることは避けがたい。そこに強力な中央の改革指令を出せるようになれば、こうした障害は避けられ、改革を推進できるだろう。また、こうした機構の設置によって、全面的な協調に配慮した改革設計が行われ、一方、中央直轄の改革指導は各部門の利益の垣根を壊すことができる。

《国家安全委》

コミュニケは「国家安全委員会は国家の安全体制と安全戦略を整備し、国家の安全保障を確保する」と定義している。

機構の名称から見ると、「安全」が同委員会の核心だということが分かる。公安部(部は日本の省に相当)、国家安全部、中国人民武装警察部隊、交通部、衛生部、民政部等の各部の責任者がメンバーとなり、総合的な見地から、それぞれの関係分野における安全に対する脅威に対処し、国家建設と社会の発展に対して最大限の防衛策を提供することになろう。改革全面深化の「航路帯」を防衛するのが最大に任務だ。

また中国現代国際関係研究院反テロ研究センターの李偉主任は次のように指摘する。この機構は常設ではなく、国家の安全・利益に危害を及ぼす重大突発事件の時に役割を発揮する。このほか、同委員会の重要な任務は国家の安全な発展にかかわる長期的な戦略を打ち立てることだ。

国際的に見ると、日本、米国、ロシア、韓国、イスラエル、フランスには類似の機構が設置されているかあるいは検討中だ。中国人民大学国際関係学院の金燦栄副院長は、現在、中国が直面する試練、リスクはますます複雑になり、このような機構が効率的に安全に対する危機管理が迫られている、と指摘する。

 

人民中国インターネット版 2013年11月18日

 

 
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