中共第18期三中全会後、省・部級の人事調整が始まった。今回の調整では中央・地方間の異動が目立つ。中央幹部複数が初めて地方に着任し、広東省指導部内の中央委員は3人となった。今回の三中全会は改革の全面的深化について方針をまとめ、「改革全面深化指導小組」と「国家安全委員会」を創設して、改革のトップレベルデザインを強化することを発表した。大変な改革任務を遂行するには有能な人材が必要であり、人事調整は今後さらに続くと見られる。中国新聞網が伝えた。
■中央幹部複数が地方に着任 専門家型幹部に注目
今回の調整では、中央の部・委員会(中央省庁)や大学に長年勤務した幹部複数が地方に着任。工業・情報化副部長(工業・情報化次官)兼国防科学工業局局長の馬興瑞氏は広東省党委員会副書記に異動、清華大学党委員会書記の胡和平氏は浙江省党委員会組織部長に異動、国家審計署(日本の会計検査院に相当)の侯凱副審計長は上海市党委員会常務委員兼紀律検査委員会書記に異動した。北京での経歴の長かった彼らは、今回の異動によって地方での経歴を積むことができる。
上述の3氏は中央幹部であること以外に、専門的バックグラウンドも備える。馬氏と胡氏は共に学者型幹部であり、大学で長年教えた経歴を持つ。馬氏はかつて中国航天科技集団の社長を務めた、衛星・月探査プロジェクトの専門家だ。中央財政金融学院卒の侯氏は上級会計検査官であり、今回の上海への異動によって、地方職務を担う現在唯一の中央紀律委員会常務委員となった。
この他、広東省党委員会常務委員、常務副省長の劉永富氏が国務院扶貧開発指導小組弁公室党組織書記に異動することも、中央・地方間の人事異動という今回の特徴をはっきりと示している。
■中央が重視する広東省と重慶市には中央委員3人体制に
地方に着任する上述の幹部3人のうち、馬市は第18期中央委員であり、馬氏の省党委員会副書記着任によって、広東省の党・政府指導部内の第18期中央委員は3人となった。省党委員会書記を兼任する胡春華・中央政治局委員、朱小丹・省党委員会副書記兼省長、そして今回の馬氏だ。広東省のこうした党・政府幹部の配置状況は、同じく中央政治局委員が党委員会トップを兼任する重慶市と似ている。今年4月、第18期中央委員の張国清氏は中国兵器工業集団社長から重慶市党委員会副書記に異動。これによって重慶市に配置された中央委員は3人となった。市党委員会書記を兼任する孫政才・中央政治局委員、黄奇帆・市党委員会副書記、そして張氏だ。
また、中央委員が省級党委員会副書記となるケースも珍しい。上述の馬氏、張氏と、新疆維吾爾(ウイグル)自治区党委員会副書記の車俊氏だ。
第18回党大会では、第18期中央委員205人が選出された。その多くは中央と省・部級党・政府・軍の「トップ」だ。このうち広東省には胡氏、重慶市には孫氏という1960年代生まれの政治局委員が配置された。広東省と重慶市には中央委員がそれぞれ3人配置されており、中央が重視していることが明らかになった。馬氏らにとっては経験を積むうえでもプラスだ。
■「新機関」の人員配置はなお不明 人事調整が続く見通し
三中全会後の新たな人事異動には、改革・新政の強力な推進に歩調を合わせる狙いがあると指摘される。三中全会で創設の決まった「改革全面深化指導小組」と「国家安全委員会」の枠組みや人員構成がまだ発表されていないことに注意する必要がある。三中全会コミュニケによると、改革全面深化指導小組の主たる任務は改革のグランドデザイン、統合的調整、全体的推進、実行促進。国家安全委員会は「国家安全体制と国家安全戦略を整備し、国家の安全を確保する」ことだ。ハイレベルの調整機関である両機関の創設には、改革の全面的深化と国内外の安全を維持するうえで必要な執行力と調整能力を確保する意図があり、両機関に関する人事が大いに注目される。
「人民網日本語版」2013年11月25日
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