嫦娥3号、中国で最も複雑な宇宙船

 

中国の月探査プロジェクト第2期の全体目標は、月面のソフトランディングの実現、月面ローバーによる自動巡視・探査だ。嫦娥3号の設計は、通信衛星「DFH-3」をベースとする月周回衛星「嫦娥1号」、「嫦娥2号」より複雑で、中国でこれまで設計・製造された最も複雑な、技術的な難易度が最も高い宇宙船の一つと言える。月面着陸技術の突破は、嫦娥3号の重要な任務の一つだ。月上陸を実現するため、嫦娥3号は米ソの過去数十年間の月面着陸・月探査の経験と教訓をくみ取り、中国の技術と能力によりきめ細やかな設計を行った。

推力制御可能な最新のエンジンを搭載

嫦娥3号の月面着陸については、まず動力システムについて触れなければならない。嫦娥1号・2号の使用していた、推力固定の490ニュートンのエンジンと異なり、嫦娥3号は強い推力をもち、かつ推力を制御可能な最新のエンジンを使用した。

このエンジンは嫦娥3号が月軌道に向かう際の修正、スピードの調整、軌道変更の任務を担う。

着陸地点を自動選択

嫦娥2号は虹湾地区の解像度1.3メートルの高画質画像を撮影し、嫦娥3号の着陸地点の選択を力強く支援した。しかしこれだけでは、嫦娥3号の月面着陸成功の保証にはほど遠い。

ゆえに嫦娥3号は他にも速度・距離測定レーダー、着地用のカメラ、レーザー距離計などの設備を搭載している。これらの設備は先進的なナビゲーションシステムと連動することで、高度0.2メートル以上の突起物を識別できる。

月面ローバー、地下100メートルの構造を分析

着陸後、嫦娥3号はランダーと月面ローバーによる探査を実施する。ランダーの極紫外線カメラは地球のプラズマ層の観測、地球環境の変化に用いられる。これも世界初の観測となる。

月面ローバーは地下100−200メートルの構造を調べることのできるブロードバンドレーダーを搭載した。これは月面ローバーとしては初の快挙で、月面付近の土壌の分析に対して、中国独自の貢献を成し遂げる。

月の昼夜は17日間続くため、長い夜により月面の気温が−183度に達する。月面ローバーがこの過酷な厳寒を乗り切るため、中国の科学者は放射性同位体の熱源を搭載し、一定の気温を維持することで月面ローバーが凍りつかないようにし、夜が終わってからすぐに目を覚まし、作業を続けられるようにした。中国が核エネルギーを宇宙船に用いるのは、これが初めてだ。

嫦娥3号は中国で今まで設計された最も精密・複雑な宇宙船であり、ソ連が1976年に「ルナ24号」を発射してから初となる、月面着陸を実施する月探査機だ。探査機そのもの、そして搭載される科学研究設備からも、嫦娥3号は最も先進的な月探査機と呼べる。

 

「中国網日本語版(チャイナネット)」2013年12月1日

 
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