河川の自然ろ過力を生かす

高原=文 馮進=写真 

 懐柔区北宅小流域の小型水域生態回復工事の簡略図
整備された後の北宅小流域。水域は昔ながらの姿を取り戻した

懐柔区は北京市北部にあり、山河に恵まれ、北京の重要な水源地となっている。そのためにここの河川整備は重要性を帯びている。懐柔区で行われる工業活動は比較的少なく、現地の河川汚染は主に居住民の生活ゴミ廃棄や河川の砂利の無許可採掘によるもので、河川の流れが遮られたり、土砂が流失したりすることによって起きる。2000年から懐柔区では河道整備作業が行われ、流域を小地域に区分し、現地のそれぞれ異なる状況に応じた整備を行っており、それは「小流域整備」と呼ばれている。

「北宅小流域」は、懐柔区橋梓鎮にあり、後辛荘、凱甲荘、北宅という3つの村を含み、整備の主な対象は懐九河である。表面的には整備後に懐九河の水がきれいになった他は、特別なところは見あたらない。ゆるやかな流れの両脇に石が転がっていて、草地や林があって、人工的な感じは受けない。水務局の係員によれば、これは彼らがヨーロッパの「自然に近い整備方法」の理念を取り入れ、現地の自然風土を基礎に生態修復を行い、可能な限り原始的な自然状態を保持したためであるという。

かつての中国都市の河川整備では、コンクリートによる護岸工事が多用されていたが、これは見た目はきれいで整っていても、実際は川の洪水防止能力や生態系によるろ過能力を大いに弱めるものであった。しかし北宅小流域では、ココナッツ繊維によって川底の土砂を固め、さらに石を用いて護岸工事を行った。こうすると、洪水が起きるたびに石が削られて川底に沈むが、岸が大きく決壊するようなことはない。また、このような川は植物が生長しやすく、植物は川の自然の汚染物ろ過作用を発揮させる。

ある人が北京の下流にある大興区の川で水をサンプル検査した際、水質は非常に悪く、水は悪臭を放っていた。この川が天津まで流れ着いたところでまた検査すると、水はきれいになっていて、直接使用できるほどだった。川の中に生きる動植物や微生物のろ過作用のおかげである。しかし、都市内のコンクリートで固められた川は、まったくこの種のろ過作用をもたない。大自然はわれわれに最も優れたものを与えてくれたのであって、自然に背くようなものはやはり通用しないのである。

ドイツの専門家が現地で指導する 

ココナッツ繊維シートによる植物保護、人工地形改造 生きた柳のくいが川岸を守る
ドイツの専門家グループが北京の延慶区、密雲区、昌平区などで小流域整備の実験をした際、北宅における整備効果に彼らはもっとも満足した。2012年、北宅エコロジー整備小流域建設工事が北京水利学会の科学技術賞1等賞を受賞した。今後、北京の「母なる川」と呼ばれる永定河の整備において、これが手本とされる可能性が大きい。

 

人民中国インターネット版 2013年12月

 

 
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