自然を満喫できる青石嶺

高原=文 馮進=写真 

青石嶺小流域

同じく小流域整備が行われた青石嶺の状況は、北宅と異なる。ほとんどが平地に位置する北宅に対し、青石嶺小流域は山地にあるため、整備方法にも、整備後の様子にも大きな差がある。

青石嶺小流域は北京市懐柔区瑠璃廟鎮の北東にあり、ここで瑠璃河、湯河が合流している。密雲ダムの上流にあるため、北京市の飲用水源3級保護区に指定されている。この流域には双文鋪、狼虎哨、青石嶺、白河北という4つの村があり、面積が23.5平方㌔に及び、243世帯、588人が生活している。

姜文監督の映画『譲子弾飛』はここで撮影され、今や人気観光地となっている
懐柔の区政府所在地から車で1時間ほどで、青石嶺小流域にある双文鋪村に着く。青緑の玉でつくられたベルトのような川が村の外を流れ、観光客は村近くの川原で、休憩したり、バーベキューしたり、水遊びしたりする。川の向こうには連綿と続く青い山なみがあり、山に沿って長い散歩道が作られていて、川とどちら側でも自然に親しむことができる。

こんな美しい景色に恵まれた双文鋪村の村民は当然、観光を主産業とし、それによって豊かになってきた。夏になると大勢の北京市民がやって来て、きれいな空気を吸いながら、ボートで瑠璃河を下り、途中の風景を満喫する。2010年に中国で公開されたジャン・ウェン(姜文)監督の映画『譲子弾飛(邦題 さらば復讐の狼たちよ)』の冒頭の列車強盗のシーンは、ここで撮影されたものだ。

青石嶺小流域が整備されるにつれ、観光業・観光農業なども発展し、都市観光客の人気を博している

青石嶺で現在のような美しい景観が楽しめるようになったのも、長年にわたる整備による賜物だ。2009年、青石嶺小流域の整備工事が政府の重要建設プロジェクトにリストアップされ、「生態系修復・整備・保護」という3つの防御線構築という考えに基づいて、この流域に全面的な整備を行うこととなった。具体的には、2000㌶の範囲内で放牧を禁止し、人為的な活動を減らし、植生の回復を図る。同時に、インテリジェント化した小型排水処理施設を5カ所に建設し、各村のごみ無害化処理システムを構築し、さらに2800㍍の人工河道の造成、2万1000平方㍍の緑化、4万2000立方㍍の河道内のゴミ・障害物の除去、16㌶の湿地の保護、1万4000平方㍍の土手の緑化工事を展開した。

この整備が実施された後、毎年5万㌧の土砂の流入を防ぐことができ、地表水が2級レベル(中国では地表水の質が5段階に分類されており、1級が最高レベル)に達し、北京市民の飲用水の安全が確保された。地区内の耕作地は「水流失、土流失、肥料流失」という「三流失地」から「水保持、土保持、肥料保持」という「三保持地」に変わった。その上、山地の主産業が伝統的な栽培業から観光業に転換し、農民の年間収入は平均15%以上増加した。

 

人民中国インターネット版 2013年12月

 

 
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