朝起きて、自宅の周辺か公園をゆったりと散歩し、拉麺店に入ってアツアツの拉麺を食べる。こうして蘭州人の1日が始まる。蘭州以外の都市と違って、拉麺は朝ごはんとしてテーブルに出されるのが特徴だ。そして、拉麺と言っても日本の「ラーメン」とはまったくの別物だ。
蘭州市内では、大通りはもちろん、細い路地にも必ず1、2軒の蘭州牛肉拉麺店がある。聞くところによれば、蘭州牛肉拉麺は清の光緒年間(1875~1908年)に、馬保子という回族の料理人が創作した麺食で、その後の革新によって、今日の味になった。今では中国各地で蘭州牛肉拉麺店を見かける。どこでも看板に「本場」の2文字が見えるが、実は蘭州以外の都市で本場の蘭州拉麺を食べようとするのは非常に難しい。逆に蘭州市内の拉麺店の看板に「本場」の文字はないが、どの店でも本場の蘭州拉麺を食べられる。では、本場の蘭州牛肉拉麺とはどんな味なのだろうか。
まず、小麦粉にはこだわりがあり、必ず粘り気のある強力粉を使わなければならない。その小麦粉に蘭州産の「蓬蓬草」を燃やした灰を混ぜて柔らかい生地にこねる。その生地を力の強い若い店員が何度も搗き、揉み、引き伸ばし、打ち、投げつける。最後に延ばして形を整え、一節一節の生地を湯飲みの厚さ、お箸の長さにする。翌朝、料理人は客の注文を受けて、その生地を細い麺に延ばしていく。麺を延ばすのは簡単に見えてなかなかの妙技だ。一節の生地はちょうど一人分の拉麺の量。麺を延ばすごとに、腕のところで回転させる。最後に両手を上下に振って完成だ。こうして作った麺はコシがあって、しかも長く太さも均一だ。
本場の蘭州拉麺には「一清、二白、三紅、四緑、五黄」という言葉がある。つまり、澄んだスープ、白い大根、赤いラー油、緑のねぎと香菜、黄色い麺という意味だ。そして、スープの味が蘭州牛肉拉麺の味を決める。蘭州人なら、麺を食べる前にまずスープを飲んで味を確かめる。スープには牛肉、牛骨を使い、また一定の比率で牛の肝のスープや鳥スープを入れ、巨大な鉄鍋で煮込む。麺をゆでる時には澄んだスープだけを使い、そしてゆでた大根と調味料を入れる。それから、牛肉スライス、香菜、ねぎやラー油を盛り付けると、本場の蘭州牛肉拉麺の出来上がりだ。
|