さまざまな味わいの軽食、素晴らしい手工芸品の数々、新鮮なフルーツ……、敦煌の沙州夜市は、北京や上海など大都市の夜市にまったく引けを取らない。観光のハイシーズンには、国内各地だけでなく多数の世界各地からの観光客もここにやって来る。夜市には毎日大勢の人が行き交い、明け方までにぎわっている。
夜市の手工芸品街両側の建物は唐代の建築を模倣したもので、道の中央に並ぶのは精巧でオープンな木造の屋台で、シルクロードや莫高窟の芸術をテーマにした手工芸品が並べられている。手工芸品街に木彫りの店を出す鄭栄遠さんは中国南方の出身だが、敦煌に来てもう10年近くなる。店内には大小さまざまな彫刻刀が並ぶが図面らしきものはなく、木から直接彫るのだという。客がいない時、彼はここに座って木を彫り続け、客が来ると彫刻刀を置いて商品の説明をする。夜市にはこうした屋台が百余りあり、地元の人以外に山西省や四川省、重慶市、新疆ウイグル自治区などから来て店を出している人もいる。彼らは敦煌の新たな住人として、世界各地からの観光客を相手にしている。
敦煌市は甘粛省酒泉市管轄下の県クラスの市で、中国でも有名な国家歴史文化名城(保存された文化財が豊富で、重要な歴史的文化的価値と革命的意義を持つ都市で、2013年9月1日現在全国122市が指定されている)だ。例えば、市の南方にある鳴沙山と呼ばれる巨大な砂山からは、広大な砂漠の風景が眺められる。陽関と玉門関では、シルクロードの盛衰を理解できる。敦煌ヤルダン国家地質公園では、見渡す限りのゴビ砂漠の上に風や雨による浸食で形作られた岩が並ぶ独特のヤルダン地形が見られる。莫高窟や西千仏洞、安西楡林窟などでは、輝かしい仏教文化と芸術を目にすることができる。統計によると、2012年に敦煌市を訪れた観光客は312万人、観光収入は27億5000万元になっている。 |