宗教と文化、知識の交差点

 

 

莫高窟には北魏(386~534年)から元(1271~1368年)まで各時代の洞窟が735カ所あり、そのうち壁画や彩色塑像のある洞窟は492カ所となっている。壁画面積は合計で4万5000平方メートル以上に及び、絵によって特定の経典を解説する経変画や、物語、民間に伝わる神話、供養人と呼ばれる壁画制作などを援助した人の絵などが主である。宗教に重点が置かれているが、そこから当時の生活・習俗、建築様式、流行の楽器や踊りなどの情報を見出すことができ、非常に貴重な資料となっている。

莫高窟の彫塑は、高さ数十メートルの巨大な仏像から十数センチの小さな像までさまざまで、様式も極めて多く、彩色塑像は全部で2000体余り、粘土を使って壁面に浮き上がらせた浮塑が1000体余りある。これらの彫塑は仏や菩薩を主題としており、釈迦の十大弟子や羅漢、天王、力士などもあり、その形や風格がそれぞれ違っている。

莫高窟の建築様式には古代インド、中央アジアの様式が融合されている。石窟内では4世紀から14世紀にかけての貴重な文化財が約6万点発見されている。そこには各種写経、文書、帛画(絹織物に描かれた絵)などが含まれ、中国古代の政治、経済、軍事、文化、芸術、宗教、外国との交通、文化交流に関する重要な歴史資料となっている。

1987年にユネスコの世界遺産に登録されたが、その評価は「莫高窟はシルクロードの戦略的重要拠点に位置している。東西貿易の中継点であるだけでなく、宗教、文化、知識の交差点でもある。莫高窟の492の洞窟及び塑像と壁画は世界に知られており、千年にわたる仏教芸術を伝えている」というものだった。

 
三彩胡人牽駝俑(唐代) 

 

 

人民中国インターネット版 2013年

 
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