「撮影禁止」の理由

 

莫高窟では、撮影が禁止されている。これにはフラッシュによる文化財破壊防止のほかに、もう一つ特殊な理由がある。これについて敦煌研究院保護研究所の蘇伯民副所長は「石窟内の空間が狭いにもかかわらず、毎日多くの観光客が訪れ、観光客が長時間洞窟内に滞在すると大量の二酸化炭素が発生し、温度と湿度の変化が石窟の劣化を進め、顔料の粒子が溶け壁画が剥がれ落ちるからです」と説明する。

私たちは、保護研究所の莫高窟観光地モニターシステムの大スクリーンを見て、この日午前10時半までの莫高窟入場者は2193人に上り、第16窟だけでも800人余りが入っていることを知った。蘇副所長は「朝9時に観光客が入場すると二酸化炭素の数値は直線的に上昇し、明らかに観光客が洞窟環境に大きな影響を与えていることが分かります。しかし、優れた遺産は多くの人が理解、共有すべきです。私たちは2001年から莫高窟の観光客許容量の研究を始めました。みなさんに莫高窟の芸術を鑑賞してもらい、同時に洞窟を良好に保ちたいのです」と話している。

 
 

 

 敦煌研究院保護研究所デジタルモニタリングセンター

 

人民中国インターネット版 2013年

 
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