クレディ・スイスの陶冬チーフエコノミストはこのほど行われた中央経済活動会議に先立ち、「2014年は2つの『R』が中国の経済プロセスを主導していく。1つ目は『Reform』(改革)のR、2つ目は『Risk』(リスク)のRだ」と述べた。会議で発表された内容をみると、来年の経済活動には2つの分野の任務があり、一つは改革の推進であり、もう一つはリスク対策だ。ここから安定をはかりつつ進歩を求めようとする経済活動の基調が確定された。「経済参考報」が伝えた。
取材に答えた複数の専門家の見方によると、このほど閉幕した同会議では、2014年の中国の経済成長の新たな道筋が明確にされた。それは、国内総生産(GDP)の合理的な伸びを維持し、経済の構造調整を推進すると同時に、改革やイノベーションを通じて過剰な生産力を淘汰し、地方の債務リスクの防止に努め、経済発展の質と利益を向上させつつ「後遺症」をもたらさないペースを実現する、という道筋だ。
また同会議では次の点が強調された。来年の経済活動をしっかり行うには、持続的で健全な発展とGDPの増加との関連を全面的に理解し、発展をGDPの増加と単純にとらえることなく、機会をつかまえてGDPの合理的な増加を維持し、経済の構造調整を推進し、経済発展の質と利益を向上させつつ「後遺症」をもたらさないペースを実現するよう努力することが必要だ。
申銀万国証券の李慧勇チーフマクロアナリストは、「これまで市場には財政政策が積極的なものから緩やかなものに変わるかどうかについての懸念があったが、変化はないという結果になった。また今後も一定の経済成長ペースを維持する必要がある。来年の成長目標がどのように設定されるにせよ、安定を中心に据えることが柱であり、目標や政策が大幅に調整されることはあり得ない」と話す。
興業銀行の魯政委チーフエコノミストによると、こうした動きから来年は巨額の財政政策や通貨政策がうち出される可能性が低いことがわかる。だが同会議では、「経済運営には下ぶれ圧力が存在する」との判断が示され、マクロ政策は引き締めばかりではいけないとの見方がうち出された。また同会議では国際情勢について、「緩やかな復興傾向が続くが、不確定性も存在する」、「新たな成長のエネルギー源がまだはっきりみえず、大国の通貨政策、貿易投資の局面、大口商品価格の変化の方向性などに不確定性が存在する」との判断が示された。ここからミクロ調整の変化の多さが、来年も政策の特徴になるものと予想される。
同会議では、マクロ政策の全体的な安定を維持するということのほか、来年の経済活動における6つの主要任務が提起された。外部では、過剰な生産力を淘汰し、地方の債務リスクを防止することが来年の経済活動の重点との見方が広がる。米国紙「ウォール・ストリート・ジャーナル」によると、同会議では、中国は債務リスクの防止に力を入れ、工業における過剰な生産能力の問題に対処するとともに、社会保障対策としての住宅(保障房)の供給を増やすことが強くうち出された。国内の大手ポータルサイトは中国新聞社の社説「地方債務が来年の六大経済任務の筆頭に並ぶ」を次々に転載した。
中国マクロ経済学会の王建秘書長(事務局長)は、「中国の現在の主な問題点は過剰な生産能力だ。そこで改革と構造調整はいずれもこの軸をめぐって展開することになり、そうでなければ効果を上げることは難しい」と話す。民生証券の管清友チーフマクロ研究員によると、来年は生産能力の淘汰が市場の注目を最も集める構造的なチャンスになるとみられる。政府は市場における優勝劣敗を通じて産業構造の調整に力を入れていくという。
魯氏によると、地方の債務リスクについて、同会議ではすべての基準を予算に組み込み、起債のプロセスを厳格にし、責任の履行を明確にし、関連の評価や教育を強化するなど多方面から、全面的な防止と段階的な解決のプランがうち出された。こうしてこれまで市場が懸念していた地方債務の違約リスクは基本的に解消されたという。
業界の専門家は、経済発展目標とリスク防止を達成するため、同会議の精神を踏まえると、「改革・イノベーションを経済社会の発展における各分野や各部分に貫徹させる」必要があるとの見方を示す。中国改革基金会国民経済研究所の王小魯副所長によると、「安定的な成長、構造調整、改革の促進」の三者がぶつかり合うことはなく、それぞれの間に内在的な関係がある。中・長期的にみて、構造調整を行わなければ安定的な成長は達成できず、改革を促進しなければ構造調整は行えない。構造がアンバランスな情況では、経済の持続的で安定的な成長は維持できず、改革を行わなければ経済構造のアンバランスの問題を解決することは難しい。だが短期的には三者の間で互いにカバーし合うことが必要で、一定の措置を取って経済の大幅な浮き沈みを防止し、成長の相対的な安定を維持する必要がある。同会議では、「経済発展の質と利益を向上させつつ『後遺症』をもたらさないペースを実現する」ことの重要性が強調された。これはつまり、短期的な成長だけをひたすら追求することはしない、ということを意味する。
「人民網日本語版」2013年12月16日
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