第九回北京−東京フォーラム 世論調査の結果分析

 

中国社会科学院日本所副研究員 金嬴

2012年9月以降、中日関係は厳しく困難な状況に陥っている。先日発表された北京―東京フォーラム世論調査の結果も、これを裏付けるものだった。両国国民の互いに対するイメージや両国関係に関する見方はいずれも、ここ10年で最悪の数値となった。中国側の調査データを見ると、対立の焦点は釣魚島紛争と歴史認識という2つの問題に絞ることができ、その影響が経済・貿易関係と民間交流にも及んでいることがわかる。

島紛争についての調査結果は以下の通り。まず「釣魚島」が中国人が日本を連想する第一キーワードとなり、これは2005年の調査開始以来、初めての現象である。次に、「日本に悪い印象を持つ理由」として、一般人の77.6%と有名大学の教師と学生の62.3%が釣魚島紛争に関する選択肢を選んだ。中国人の8割近くが、島紛争が両国関係の発展を妨げる最も重要な問題だと考えている。ただし、領土紛争をきっかけに中日間に軍事衝突が発生すると思う人は、昨年に比べ減少している。

歴史認識問題について、一般人の63.8%と有名大学の教師と学生の55%が、「日本は中国を侵略した歴史について誠意を持ってお詫びと反省をしていない」という選択肢を日本に悪い印象を持つ理由とした。日本を連想するキーワードとして、半数を超える(50.3%)一般人が「南京大虐殺」を選んで2位となり、それは昨年より17.2ポイント増えている。昨年、日本の政治家の靖国神社参拝が再び報道の焦点になったため、中国人の歴史的記憶が再び蘇ったと言える。

経済は確かに中日関係の重要な基礎であり、中国人の日本に対する良い印象は、ほとんどが経済につながるものだ。例えば、日本についてのキーワードとして挙げられた電気製品などは、中国人が日本の経済発展に強いプラスイメージを持っていることを示している。そのほか、2030年の日本の国際的影響力予想においても、一般人の5割以上が、2030年になっても日本は依然として影響力が非常に大きい経済大国だろうと予想している。しかし、注意すべきなのは、中国人の8割以上が、領土紛争が両国の経済関係に影響を及ぼすと考えていることである。

民間交流に関しては、2013年、中国人の日本訪問意欲は下がった。しかし、日本へ行きたい人の中では、観光がやはり第一選択肢だ。日本へ行ったことがある中国人の比率が昨年より上がり、とりわけ有名大学の教師と学生の比率が3割上昇した。これは、観光が中日民間交流に非常に大きな役割を果たしていることを示している。

中日両国は経済・貿易協力、地域の一体化、人文と青年交流などの分野で広い発展の余地と民意の基礎があるものの、双方は深い次元の根本的な問題における協力の必要性を認識し、実質的な進展を遂げるよう、努力しなければならない。さもなくば、両国関係は進歩しないどころか後退し、ひいては日増しに悪化することになるだろう。35年前、中国と日本は『中日平和友好条約』を結び、両国関係の長期にわたる発展の方向を決め、基礎を固めた。この条約の精神をいかに発揚し、より速く両国関係の正常な発展を回復させるかが、来たる2014年に課された差し迫った問題である。

 

 

金嬴 プロフィール    

1973年生まれ。法学博士、中国社会科学院日本研究所副研究員。専攻はメディア社  会学で、著作に『密室与劇場――現当代日本政治社会結構変遷』(人民出版社)。2012年より中国側代表として「中日ジャーナリスト交流会議」に参加している。

人民中国インターネット版 2013年12月

 
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