節約の風潮が高まる

文=陳蘊青 

長い間、中国人が客をもてなす時、料理が残ってもかまわないが、皿が空になることは許されなかった。もしテーブルの上の皿がすべて空になったら、ホストはケチな人間だと思われたものだ。この問題は1980年代から論議されてはいたものの、無駄遣いと知りつつ「メンツ」を失うことを恐れるあまり、この習慣がなくなることはなかった。関係データによると、廃棄された食べ物の量を食糧に換算すると、中国では年間約500億㌔の食糧を浪費していることとなり、その値は全国の食糧総生産量の1/10近い。少な目に見積もっても、毎年少なくとも2億人が1年間食いつなげるだけの食糧を捨てている計算となる。

2013年1月16日、さまざまな分野で活躍する、ある研修で一緒になった仲間たちが力を合わせ、「節約はまず自分から。今日から食べ残しゼロ」を合言葉とした「光盤(皿をきれいにするの意味)行動」を始めた。レストランでは適量の料理を注文し、食べきれなかった分は持ち帰って、お皿を空っぽにして店を出るなど、浪費をなくす習慣を身につけることを提唱したものである。彼らはミニブログで提唱する以外にも、北京のさまざまなレストランに6万枚のビラをまき、5000枚余りのポスターを貼って歩いた。

 

2013年2月9日(旧暦の大晦日)、北京市石景山区にあるレストランで、「光盤行動」「節約励行」の呼びかけに応じ、きれいに食べ終えたお皿を見せる家族(写真・新華社)

 

この「光盤行動」は、すぐさま多くの人の賛同を得た。ミニブログにきれいに食べ尽くしたお皿の写真が次々とアップされ、多くのメディアや有名人もこの活動に参加した。わずか20日間で新浪微博(中国で最大手のミニブログサイト)だけで「光盤行動」に関する書き込みが60万件余りに達した。

こればかりでなく、「ネットユーザがレストランでの浪費を抑制しようと呼びかけ」という新華社の記事が習近平国家主席の目に止まり、主席自ら「節約を励行し、浪費をなくす」という指示を下した。党・政府の各部門は上から下まで節約を励行し、公費による飲食接待、汚職・腐敗という好ましくない風潮にストップをかけた。

 

2013年9月16日、安徽省合肥市のあるコミュニティで、子どもたちが未包装の月餅と「節約」「環境保護」という言葉が書かれた皿を持ち、節約の中秋節を過ごそうと呼びかけた (写真・新華社)

 

こうして、今年には中国各地で節約ブームが巻き起こった。春節(旧正月)には、各クラスの政府部門・国有企業は宴会や忘年会などを簡素化し、贈答品も大幅に削減された。3月に北京で行われた「両会(全国人民代表大会と中国人民政治協商会議)」では、厳格に中央政府の指示が守られ、節約して会議を行い、会場内外の横断幕や花飾りなどの装飾物が減らされ、代表委員たちの食事も簡単なセルフサービスとなった。今年の伝統的な祝日である端午節と中秋節には、高価なちまきや月餅などのギフト品の売れ行きが低迷し、高価なお酒も値崩れし、公費による接待はほぼなくなり、簡易パッケージの安いちまきや月餅が祝日の主役となった。また、今年開催された各種の展覧会、運動会、アトラクションなどもその例外でなく、規模でなく質が重視され、過剰な演出は行われず、資金・資源の浪費が抑えられたことで、イベントの質を競う傾向が生まれた。

 

 

 

人民中国インターネット版 2013年12月

 

 

 

 
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