文=陳蘊青
「PM2.5」は、空気に含まれる直径2.5マイクロメートル以下の微小粒子状物質のことで、直接気道や肺の奥深くまで侵入するため、病気を引き起こしやすく、大気汚染やスモッグ発生の重要な原因の1つとなっている。2010年、この言葉がニュースで注目を浴び、社会で論議を引き起こしたが、中国人すべてが注目する問題になったのは、今年になってからである。 今年初め、もうもうたるスモッグが中国の中・東部を覆った。中央気象台はスモッグ警報を青色(4級、1日以内に重度の汚染が予測される)から黄色(3級、1日以内に深刻な汚染、または重度の汚染が発生し、3日間続くことが予測される)に引き上げ、北京ではさらに気象観測史上初のオレンジ色(2級、今後3日間、重度の汚染または深刻な汚染が継続して出現することが予測される)が発令された。74の観測都市のうち、33都市が1立方㍍中に300マイクログラム以上のPM2.5を検出するという、深刻な汚染に達した。北部だけではなく、南の長江デルタ地域、珠江デルタ地域も深刻な大気汚染問題に悩まされている。
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9月2日、北京市環境保護局は「PM2.5に宣戦」記者会見を行い、「北京市2013~2017年クリーン大気行動計画重点任務の詳細に関する通知」を公布し、近日中に実施される大気汚染改善に関する計画と目標を明らかにした(写真・新華社) |
ある有名俳優はミニブログに以下のように記した。
「北京で生まれ育ち、50年間ここに暮らしていますが、海外脱出の風潮や、さまざまな誘惑を受けても、このいとおしい都市から離れることを考えたことはありませんでした。しかし、今は、どこで晩年を過ごすかという問題が、私の頭にまとわりついています」
このような大規模で長時間にわたるスモッグは、歴史上稀に見るもので、中国の経済成長モデルが転換されなければならないことを示している。人々は新鮮な空気と青い空を求める声を上げ、民間も政府もさまざまな方法を通じて、この問題を解決しようとしている。「車を運転する日を減らそう」「春節に爆竹を控えよう」などと提唱することにより、民間ボランティアは環境保全運動を行い、人々に大気汚染の防止・改善に参加するよう呼びかけた。中央と地方政府も直ちに対策をとり、中央政府は大気汚染を重大な民生問題として、「大気汚染防止行動計画」を発表し、各地方政府も自らの実際的な情況に基く具体的な解決方案を定めた。
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10月19日、北京交通大学の学生たちは「エコ外出」を呼びかけ、緑の横断幕に在校生や一般からの署名を集めた(写真・新華社) |
北京を例として紹介しよう。調査によると、北京のPM2.5の原因として、自動車の排気ガスが22%以上、発電と暖房に使われる石炭の燃焼により生み出されるばい煙が約17%、1億5000万平方㍍の建設工事現場から発生する粉塵が16%、工業、塗装作業などによる揮発性物質が16%、農業、養殖や農作物の茎焼却によるものが4.5%を占めた。このほか、24.5%の汚染物は主に天津市と河北省から来たものだった。
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1月15日、杭州市環境保護局の検査員が自動車の排気を検査する(写真・新華社) |
この現状に対して、北京市は今年9月に「北京市2013~2017年クリーン大気行動計画」を発表し、8つの分野から大気汚染問題を解決し、今後5年間で空気中のPM2.5の平均濃度を毎年5%ずつ低下させるという目標を掲げた。具体的措置は以下の通り。総合的な政策により自動車保有台数を600万台以下に抑える。電力や天然ガスなどのクリーンエネルギーを火力発電に取って代わらせ、石炭の総使用量を大幅に削減する。公共交通の発展に力を入れ、2015年には全市の軌道営業キロ数を660㌔まで増やす。小型汚染企業を整理し、2016年までに汚染源となる企業1200社を撤退させる。2016年までに100万ムー(1ムーは約667平方㍍)の造林プロジェクトを完成させ、あらゆる手を尽くして緑化面積を増加させ、2017年までに全市の緑化率を60%以上にする、などである。このほか、中央財政は50億元を支給し、主に河北省一帯の大気汚染改善に用いる。
人民中国インターネット版 2013年12月
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