文=沈暁寧
2013年12月26日午前、日本の安倍晋三首相は14人のA級戦犯をまつる靖国神社を参拝した。安倍首相のこの行為は中韓両国政府と国民の強烈な非難と憤りを引き起こしたのみならず、国際世論の遺憾と不満を招いた。
安倍首相の参拝当日、中国外交部(日本の外務省に相当)は声明を発表し、日本側に強烈な抗議と厳しい譴責を表明した。王毅外交部長(日本の外務大臣に相当)は木寺昌人駐中国大使と会見した際に、安倍首相が参拝にこだわることは、中日間の4つの政治文書の原則と精神に大幅に違反することとなり、日本の歴代政府と指導者たちが歴史問題において表明してきた態度と約束に背き、すでに厳しい状況にある中日関係に新たに大きな政治的障害を作り出したと語った。
韓国政府も安倍首相の靖国参拝は韓日関係を歴史上最悪の地点に押しやったと強烈に警告している。
安倍首相の参拝に対し、在日米国大使館も「日本の指導者の靖国参拝や最近の言動は、近隣諸国との関係を悪化させ、この挙動に米国政府は失望している」という声明を発表した。日本のメディアは、米国政府が参拝問題に批判の声明を出すとは極めて異例のことであると報道している。
ロシア外交部もまた、現在、日本国内の一部の勢力が、国際的に公認されている第2次世界大戦の結果に対する評価基準と異なる観点を日本国民に押し付けようとしている状況下での安部首相の靖国参拝はとても遺憾なことだと、表明している。
国際メディアは安倍首相の靖国参拝に対し、次々と各自の見解を発表している。『ワシントンポスト』は、安倍首相の参拝は彼がますます国内の右翼保守派に迎合しようとしていることを示していると報道した。英国のBBCは、安倍首相は自らを「平和憲法」廃止の歴史的使命を帯びた人間だと思っていると報道した。フランス通信社は早稲田大学政治経済学部の山本武彦教授の言葉を引用し、安倍首相の参拝は「愚かな行為」で、ひどい情勢をさらに悪化させるだろうと報道した。米国のAP通信は、安倍首相を熱狂的な民族主義者だと報じた。ドイツの週刊誌『デア・シュピーゲル』は、安倍首相が隣国の気持ちを顧みず、領土争いを発端とした日中・日韓関係が緊張する状況のもとで、さらに靖国参拝を強行したことは、賢いやり方とはいえないと報道した。
安倍首相は参拝後に「恒久平和の誓い」と題する声明を発表し、「中国、韓国の人々の気持ちを傷つけるつもりは、全くありません。中国、韓国に対して敬意を持って友好関係を築いていきたいと願っています」と述べた。しかし、この言葉はみんなに認められることはなかった。中国外交部の秦剛スポークスマンは、「もし安倍首相が本当に隣国に敬意を抱き、本気でアジア諸国との関係を改善したいと思っているなら、靖国神社ではなく、南京大虐殺紀念館に行くべきだった」と指摘した。韓国政府の劉震龍スポークスマンもまた、安倍首相は「平和主義を積極的に推し進める」という旗印をかかげ、国際社会に貢献すると口では言っているが、誤った歴史観を持つ人間が本当に世界の平和と発展に寄与できるかは、疑いをもたざるを得ないと語った。これについて、CNNもまた、安倍首相の今回の声明は「誠意が足りず、また、あまりにも遅すぎる」と評価している。
2006年に安倍首相が初めて首相に当選した際、前任の首相が靖国参拝をしたことによる中日関係の悪化を積極的に改善しようと、「氷を割る旅」を行っただけでなく、さらに「日本がかつてアジアの各国国民に巨大な損害と苦痛を与え、各種の傷跡を残したことに私は深く反省の意を表し、この立場は今後も変わることはない」と公に語った。その時の安倍首相は周辺国家に良い印象を残した。しかし、安倍首相の二回目の首相当選の後には、人が変わったかのように、東アジア情勢にもはや希望は与えず、たびたびの危機をもたらした。
今回の安倍首相の参拝後の各方面の反応から、現在の世界構造に深刻な変化が生じる背景のもとで、「平和と発展」という国際関係のテーマはより人々が受け入れるものとなっている。このため、中国は一貫して中日両国民の友好的往来を推し進め、両国に長期的な安定、協力・ウインウインをもたらすよう努力を続けてきた。もし、日本政府の指導者が長期的・発展的な視野でものを見、周辺諸国との間に存在する問題を処理して、安定・繁栄した東アジアを守る積極的な役割を果たすならば、日本の人々は素晴らしい未来を迎えることができるだろう。
人民中国インターネット版 2013年12月30日
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