「融資の申請が受理されないと、5000万元の注文が目の前にあっても、それを受けることができません」と、黒龍江省のある小規模企業の経営者、戦立新さんは嘆く。
戦さんは、黒龍江省虎林市東方紅鎮で蜂蜜を生産する食品企業を経営している。年間販売額は1000万元以上で、100人近いスタッフを抱えるこの会社は、使われなくなった工場を借りてオフィスにしているため、土地所有証明がない。起業当初、資金集めのために、戦さんは自らの家も売ってしまっている。
「2003年以降、私はいくつかの銀行に融資の申請を出しましたが、抵当に入れる土地所有証明がないため、どの銀行にも融資を断わられました。今でも、一銭たりとも貸してくれるところはありません」と、戦さんは言う。ある時、戦さんは回転資金が不足し、さまざまな方面に融資を求めたが、最後にようやく蜂蜜製品を抵当にお金を貸してくれる銀行を見つけた。しかし、抵当物規定の中に蜂蜜が挙げられていなかったため、貸付審査の段階で融資の話は流れてしまった。そのため、戦さんはやむなくひそかに高利貸しから30万元を借りた。
今年4月、戦さんは香港から総額5000万元の注文を受けた。しかし資金不足のため原材料の買い付けができず、この注文に応じることはできなかった。
山東省濱州市のある小規模紡績企業も、同様な問題に直面している。抵当物がないため、銀行に融資を申請しようとしても、門前払いを食らってしまうのだ。「われわれに欠けているのは販売ルートではなく、安定した長期的な資金チェーンです。今、資金チェーンが切れてしまい、原材料買い付けに影響したため、上半期は赤字になってしまいました」と、企業の責任者は語る。
中国光大銀行、中国中小企業発展促進センターなどの機関が、2013年4月に「微小企業の融資発展報告」を発表したが、その報告によれば、朝食店など資産が百万元前後の微小企業のサンプリング調査で、2012年、中国の90%の小型企業および95%の零細企業は、金融機関との貸借関係がまったくなかったことが明らかになった。
さらにこの報告では、24.3%の起業初期段階の企業、あるいは零細企業と7.5%の小型企業が「親戚・友人にお金を借りる」方法を選択していた。しかし、企業の発展により、「親戚・友人からの借金」では内部資金を満足させることができなくなると、微小企業が融資を希望する先として、依然として銀行が挙げられている。
切り捨てられた微小企業
発展を求める微小企業の融資への需要は旺盛だが、彼らの融資市場における地位は明らかに低い。ある南京の微小企業の経営者は、「急用でお金が必要となった時には、一日も早く銀行からお金を借りたいと思います。でも、銀行に行くと、融資の申請には長い行列ができていて、かなりの時間がかかります。貸付期間には、あれやこれやと抵当や担保が必要となり、不動産を抵当にしたら、その価値は3、4割も下がります。銀行からお金を借りるのは本当に大変です」と、不満をぶちまける。
しかし、銀行の立場からすると、微小企業は予想できない不良リスクがあるので、大企業には融資セールスに行っても、行列して融資を求める「草の根民営企業」の要望にはあまり応えたくない。
商業銀行には、大企業を重視し、小企業を切り捨てる傾向がある。つまり、大・中企業、特に大手企業を主な融資の対象とし、微小企業の融資への需要はあまり重視していない。大・中企業に向けた融資サービスは絶えず刷新されるが、微小企業に対するサービスは不十分なままである。大・中企業に向けたサービスがそのまま微小企業に適用されるため、微小企業が排斥され、融資を受けるための代価が非常に高いという状態に陥っている。
人民中国インターネット版 2014年1月
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