人材雇用という難題

今年3月、微小企業が多く集まる浙江省義鳥市で、インフォメーションボードにびっしりと貼られた求人広告。しかし、興味を持つ者は少ない(東方IC)

今年上半期、重慶市のある区の政府が「微小企業就職説明会」を開き、参加した23社から500余りのポストが提供された。それに657人の求職者が参加したにもかかわらず、わずか124人の内定が達成されたのみにとどまった。

参加企業の提供したポストの基本給は昨年に比べ全体的に上昇し、専門スキルが必要ないポストの初任給は月給2000元(1元は約16円)ほどで、食事・宿舎も提供される。販売や事務経験があれば、月給3000元以上となる。試用期間終了後、これらの企業は規定通りに社会保険料を納めることになるが、そのことについてはまったく気にかけない求職者もいた。

「大学を卒業したのに微小企業に勤めるなんて、親のメンツがたちません」「微小企業には保障がないように感じます」「微小企業はリスク回避力が低く、制度も整っておらず、将来性にも限りがあって、安定性がありません」と、多くの就職活動中の大学生は語る。

河南中経進出口公司の張暁霞副社長は、ネットや職業安定所、または大学を通じての人材探しが、毎日の仕事になっている。「毎回、面接に来る求職者の5%ほどしか、条件を満たす人はいません。優秀な人材はまったく来ませんが、平凡な人材を雇うつもりもありません」と、張副社長は語る。彼女の会社は従業員総数が20人余りの微小企業なので、彼女はいつも人材募集に頭を痛めている。

人材募集は難しいが、人材育成はさらに困難だ。微小企業は人材育成資金に乏しく、人材トレーニング・チームもないし、社員を外部と交流させることもかなわない。「鄭州大学教授を講師に一回招くだけでも5000元が必要で、それ以上のレベルの先生を招くのはまったく不可能です」と、張副社長は言う。

「会社の発展の必要に応じたハイレベルの企画人材をとても必要としています。わが社は1万元以上の基本給を出し、より多くのチャンスと手厚い福利厚生を提供するなど、多くの大手企業より格段に良い条件となっていますが、満足できる人材を手に入れることは依然として困難です」と、北京光合映画影視公司の陳社長は嘆く。

「我々の社員は主に周辺地域の農民で、彼らは農業と兼業しているので、毎年春と秋の農繁期には工場は操業を停止するしかなく、注文を受けて納品しないのでは、企業の信用に関わりますから、多くの注文を断わらざるを得ません」と、吉林向宇農副産品有限公司の張社長もその苦衷を訴える。

吉林向宇農副産品有限公司のように、主に出稼ぎ農民を中心に雇用している微小企業は中国では少なくない。しかし、出稼ぎ労働者は流動率が高い。毎年、旧正月の帰省を機に多くの出稼ぎ労働者が転職し、企業は新たな労働者募集を余儀なくされる。人が変わると改めて訓練をしてからでないと使うことができないため、人件費も大幅に増え、企業の経営規模拡大にも大きな影響を与え、市場競争率アップなどは望めない。人手不足で生産拡張計画を諦めたり、減産に追いやられる企業さえ存在する。

 

人民中国インターネット版 2014年1月

 

 
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