微小企業が重い税負担に苦しんでいることを、政府が見て見ぬふりをしているわけではない。2011年、政府は個人事業主に対する付加価値税と営業税の徴税開始基準を、月次売上高2万元に引き上げた。これによって、924万の個人事業主が付加価値税と営業税を納める必要がなくなり、税負担が軽くなった。
しかし、微小企業にしてみると、付加価値税と営業税は月次売上高の3%が徴収されるので、個人事業主と比べると微小企業の月次売上高が2万元を超えていなくても、営業税と付加価値税を納めなければならず、個人事業主の徴税政策との間に不一致が生じる。政府の優遇政策は最下層である微小企業すべてに及ぶわけではない。
2013年8月1日、国務院は即日から微小企業のうち月次売上高が二万元を超えない企業は、しばらく付加価値税と営業税の徴収を免除すると発表した。これによってとうとう個人事業主と微小企業の徴税政策が一致し、税負担の公平が実現した。
この政策が発表されるなり、喝采の声が沸きあがった。広西チワン族自治区南寧市で小売店を営む陳さんは、「これからは毎月1000元の税金を納めなくてすむので、一年で1万2000元となります。このお金で私が借りている家の家賃を払うことができます」と、嬉しそうに語った。
「免税は素晴らしい、正しい政策です」と、上海財経大学公共経済・管理学院の胡怡建教授は語る。月次売上高が2万元の微小企業を例にして彼が計算したところ、免税後は一カ月で600元の税金が減り、一年で7200元となる。微小企業の利潤は比較的低いので、10%の利潤率で計算すると、月次売上高が2万元の企業の利潤は2000元となり、もし20%で計算したとしても、わずか4000元である。もし毎月600元の税金を節約できたとすると、少ない額とは言えない。現在実施されている3%の付加価値税率で計算すると、この政策は600万社の微小企業にとって、合計すると約200億元相当の減税となる。
財務部財政科学研究所の劉尚希副所長の考えでは、この政策は600万社の微小企業に影響し、減税規模はそれほど大きく見えないが、恩恵を受ける人の数は多い。一つの微小企業に10人の従業員がいるとすると、6000万人の就業と収入に影響する。
それだけでなく、微小企業は創業のふ化器でもある。「この政策により創業の敷居が低くなり、創業したいと思っている人に明確な予測を与えることになります。創業は就業を呼び、就業は収入を増加させ、経済や社会全体の活力増強に効果があることでしょう」と、劉副所長は指摘する。
さらに専門家はこの免税政策を、政府の微小企業に対する「水を張って魚を育てる」決心を示したものであると考える。中国の経済成長が減速し、財政収入も頭打ちの今、政府は一部の税収を犠牲にして、微小企業の負担を減らし、彼らの生存のための問題を軽くする意義は大きいといえる。「現在のような経済背景のもとでは、政府はこのような短期成長に効果がある長期的な転換政策を優先的に実施すべきです」と、マクロ経済学者の緒建芳氏は語る。
人民中国インターネット版 2014年1月
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