土地改革で農民の利益を確保

 

 

農民により多くの財産権を

 中国の現行の土地制度の下では、都市部の国有建設用地には正式な土地取引市場があり、市場による価格決定のメカニズムが存在する。しかし、農村の土地は集団で所有するもので、農民が土地の経営権を請け負っている。農村の建設用地を転貸する場合は、国に徴収され国有地にならないと取引できなかった。このように都市と農村は、同じ土地でありながら権利・価格が異なる二元構造のもとに置かれており、多くの農民は都市化の過程において土地による収益を公平に享受できなかった。

 農民の財産権の帰属はあいまいで、しかも不十分で保障がないため、農民の可処分財産は少なく、農民の家族収入のうち、財産所得が占める割合は極めて低くなっている。国家統計局が昨年初頭に発表した統計によると、2012年末時点で、中国の農村部住民の一人当たりの年間所得は7917元だったが、「財産所得」と「移転所得」が農村部住民の所得に占める割合は8%以下で、都市部住民の水準をはるかに下回るものだった。

 第18期3中全会で審議・採択された「決定」では、新型農業経営システムの構築を加速し、農民により多くの財産権を与え、都市と農村の要素の平等な交換および公共資源の均衡配置を推進するとしている。さらに、土地徴用の範囲を縮小し、手続きを規範化して、土地を徴用された農民に対する合理的かつ規範的で多元的な保障メカニズムを完備させるとしている。また、国、集団、個人という三者の利益に配慮した土地付加価値収益の配分メカニズムを構築し、個人の収益を合理的に拡大し、土地賃貸・譲渡・抵当権の流通市場を整備するとしている。その上で、中央1号文書は初めて農民の請負経営権を抵当とすることができるとし、農村の土地請負活動の安定と長期維持を強調し、最も厳格な耕地保護制度を堅持・改善するという前提の下で、請負地に対する所有、使用、収益、転貸および請負経営権の抵当・担保権を農民に与えることを打ち出した。

 現在、中国では、新たな土地制度改革が始まっており、それにより農民の土地財産権を犠牲に工業化と都市化のコスト削減を図っている現状が変化し、土地が農民に富をもたらす資本となり、農民が改革がもたらす市場からの利益を本当の意味で享受できるようになるだろうと、アナリストは指摘している。

 

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