高齢化時代の定年・年金改革

高原=文 馮進=写真

 中国社会の高齢化の進展に伴い、老後の生活保障問題がますます社会各界から注目されるようになっている。第18期3中全会の決議によると、老齢年金制度の全国的な計画、政府機関と企業の老齢年金制度の統合、社会保険納入率の調整、定年退職年齢の延長や社会保障基金の補充が、今後の改革の五つの重要な「コマ」となる。こうした政策の変化は、定年退職者あるいは今後定年退職を迎える人の生活に、現実的な影響を与えるものとなるだろう。

今どきの定年後生活

 今年62歳になる王敏さんは、2011年9月に全国総工会法律部を定年退職した。彼女は今までの普通の定年退職者と違って、毎日買い物に行ってご飯を作り、家事をこなし、子どもの代わりに孫を育てるなどの家庭生活にも、書道や中国画を教えてくれる高齢者学校にも興味がなかった。

 「そうしたものが嫌だというわけではなく、まだ体は丈夫だし、もっと動き回るべきだと思ったのです。書道や絵を習ったりするにはまだ早いかなって」

 2011年から、王さんは家族や友人と共に台湾や沖縄、東欧5カ国、北海道などを旅行し、旅の風景を写真に撮って、微信(日本のLineにあたるコミュニケーションソフト)で国内の友人たちに送ったり、自分の見聞や感想を記録して、コンピューターで写真付きの旅行記を書いて、Eメールでみんなに送ったりしている。北京に居る時も時間をもてあましたりはせず、たびたび自転車に乗って街を縦横に駆け巡り、警察博物館、法院(裁判所)博物館、コマ・トランプ博物館など、人が全く知らないような珍しいところまで、さまざまな博物館を見て歩いている。

 これと同時に王さんは、専門的な学術研究機構の活動に参加したり、公益活動やボランティア活動に参加したり、かなり充実した生活を送っている。

 「定年後は頭も足も怠けさせてはいけません。退職したらすぐ年寄りの仲間入りというわけではなく、まだ若いからです。今までの仕事を辞め、また別の生活が始まったに過ぎません。もう若くないのに、まだいろんな活動に参加しているのはどうしてだと聞く人もいますが、私はそんなに年をとっていますか?そもそも年齢と関係があるの? やりたかったらやればいいだけじゃないと答えます」

 王さんのように、退職したばかりの1950年代生まれの人々は、先輩たちに比べても精力に満ち、旅行やスポーツ、社会活動を好み、消費力も強く、生活の質に対する欲求も強い。彼らからすれば、定年退職は、仕事のプレッシャーからようやく脱し、自由に人生を生きることができることを意味している。そのため、定年延長の改革案は、すでに退職している多くの人々に、自分はラッキーだったと思わせることになった。

 

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