高齢化時代の定年・年金改革

 

 

困難な年金制度の統一

 長い間中国では、国家機関や事業団体に勤める人々と、企業に勤める人々とはまったく違う年金制度のもとに置かれていた。後者は社会年金保険システムに組み入れられ、年金保険の納入義務を担い、退職後に得ることのできる年金は現役時代のわずか5、6割ほどであった。一方、前者の年金は国家財政の負担によるものであったため、現役時代に保険金を納める必要がないうえに、老齢年金も現役時代の8割以上に達した。同じような学歴で、同じような勤続年数の人でも、勤め先によってもらえる年金の差は大きかった。このため、年金制度の統一を求める声はずっと非常に大きかった。

 第18期3中全会の決議の中で、「国家機関・事業団体の年金保険制度改革の推進」が言及されたが、10年前の第16期3中全会の決議の中でも、「国家機関と事業団体の社会保障制度改革の積極的な探索」という表現で、この問題が挙げられていた。「積極的な探索」から「推進」までに10年かかっていることから見ても、この改革の複雑さと困難さが分かるだろう。

 定年前にはずっと労働法関係の法律事務をしていた王さんは、「法律体系から言うと、公務員と企業の従業員は一つのシステムの中にはなく、まったく異なる性質をもつ仕事でした。企業が市場化し、自活の道を探らなければならなくなると、企業の利益率が良くなれば、退職した従業員と利益を分け合うのを望み、年金も多くなります。しかし公務員は商売は許されないため、国家は一定の保障を与えて彼らに公職を履行させねばなりません。この二つのシステムを統一するのは、恐らくとても困難でしょう」と語る。

 現在、老齢年金制度の統一の具体的な改革法案はまだ研究中で、明確な実施スケジュールは発表されていない。しかし、今年1月1日から、国務院は企業の定年退職者の基本年金水準をさらに10%引き上げることを決めており、特に特殊な困難を抱える人々に多く与えられる。全国7400万人余りの企業定年退職者がこれによって利益を受ける。中国では企業定年退職者の基本年金が10年連続で引き上げられている。年金制度が統一されていない段階では、企業老齢年金引き上げという方法で公務員の待遇との差を縮めるのは、実際的な方法だと言えるだろう。

 

人民中国インターネット版 2014年2月

 

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