土壌をなくす

 

昨年1月、就任間もない習近平総書記は新指導部の腐敗一掃に対する態度と決意を次のように明らかにした。「腐敗官僚は大物、小物を問わず、すべて党と国家にとってダニである。トラもハエも一緒にたたき、党内と民衆の身の回りの不正の気風、腐敗問題を取り除かなければならない」。その後1年の間に、党は18人の「トラ」と中下級の腐敗官僚の「ハエ」を10万人も退治し、国民に対する反腐敗の約束を果たした。

 「当面の反腐敗行動は対症療法であり、根本治療の時間稼ぎだ」と、王岐山党中央政治局常務委員・中央紀律検査委員会書記は新指導部の反腐敗戦略を明言した。「対症療法」とは民衆の身辺で起きている腐敗現象を重点的に攻撃し、国民に反腐敗行動の効果をはっきりと示すことだ。また「根本治療」とは「権力を『制度のオリ』に閉じ込める」ことであり、整備された法制度によって地位利用による腐敗、職権乱用、権力利用で私腹を肥やすなどの権力が生む腐敗現象を根絶し、腐敗撲滅の究極的な目標を達成することだ。

 2012年11月の18大後、党中央は立て続けに公費海外出張、公用車配置、公費招宴に厳格な制限を加え、各クラスの党・政府機関に会議の簡素化、公務接待の簡素化、勤倹節約を励行し、腐敗が出現する可能性がある部分の切断を求めている。習近平総書記はこれを「鏡を見て、衣冠を正し、身を清め、病を治す」と表現して、「形式主義、官僚主義、享楽主義、ぜいたくという四つの風潮『四つの風』」に反対する活動を全党に呼び掛け、党員・幹部が率先垂範して自己検査を行い、自分自身にあるそうした問題点を正し、清く正しい意識の修練に努めるよう指示した。

 上述の「権力の制限」のほかに、「権限の委譲」の足取りも速まっている。目下のところ、新指導部はすでに百項目近くの行政審査・認可の権限を手放している。これ以降、政府権力の関与が弱まり、腐敗を招く余地も自然に縮小している。中国は制度的に権力を規制し「トラ」や「ハエ」を生み出す腐敗の土壌そのものをなくそうとしている。

 

 

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