無期限の追究

 

フランスのシラク元大統領は温厚篤実、口調も穏やかで清廉な政治家として国民から愛されていた。2007年、フランス政府は彼の財産は100万ユーロ余(1ユーロは約142円)で、フランスの中流家庭と同程度だ、と発表した。

ところが、誰しも「良い大統領」と思っていた彼が離任して4年後、公金使い込み、職権乱用の罪で、パリ地裁は懲役2年(執行猶予付き)の判決を言い渡した。裁判官は1990年から1995年までのパリ市長在任中に、多数の見せかけの公職をつくり、公金を所属政党職員の給与として流用し、このためにパリの納税者は約140万ユーロを支払わされた、と判断した。裁判所は「パリ市民に損失を与え、市民の官僚に対する信頼に背いた」と断じた。  

元大統領は事情を知らなかったし、その金銭が彼の懐に入ったわけではないと反論した。この件はすでに20年近く経過しているが、裁判官は判決を言い渡した。その理由はこの件が在任中に起きた腐敗事件であり、元大統領はパリ市民が被った損失に責任を負うべきであり、それが過去のことであるかどうかは関係ないからだ。  

この件は大統領選挙に立候補する準備で多忙な時期の過失かも知れないが、司法当局の真剣な取り組みから、フランスの腐敗行為に対して情を差し挟まないことを知ることができる。地位が高くても、身分が高貴でも、あるいは大きな貢献をしてきた人であっても、国民から愛されていたとしても、腐敗に関係があれば、徹底的に追究され、一生追究される。

 

人民中国インターネット版

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