自由貿易区の改革の深意を読み解く |
今年の両会では、自由貿易区関連の「複製・普及」が大変注目されている。昨年10月に上海自由貿易試験区が認可されて以来、「自由貿易区」の概念がたちまち流行した。自由貿易試験区を積極的に申請する方針の省・市も少なくない。(文:郝洪) 自由貿易試験区の建設は、中央が新たな情勢下で改革開放を推進するために打ち出した重大な措置であり、第18期三中全会決議と政府活動報告に盛り込まれた。習近平総書記は上海代表団の審議に参加し、自由貿易試験区の建設加速について言及した際「大胆に突き進み、大胆に試み、自主的に改革し、複製可能、普及可能な新制度をできるだけ早く形成する」よう上海を激励した。 だが何を「複製」し、「普及」させるのか?もし「自由貿易区」を政策的ボーナスを得られるものとのみ見なし、工業パークの複製のように自由貿易区の流行に乗ることに希望を寄せるのなら、自由貿易区の革新的価値を読み誤り、それ以上に自由貿易区建設の加速という中央の改革の深意を読み誤るだろう。 自由貿易区とは何か?自由貿易区は制度改革のテストケース、苗を植える畑であり、盆景ではない。複製可能、普及可能、実効性ある制度をインキュベートさせる。自由貿易区とは「廃」「改」「立」だ。すなわち国際的に通用するルールを把握し、市場ルールに合致しない制度を廃止し、行政審査制度、税関監督・管理制度、企業登記制度を改革する。国際的な投資・貿易ルールと連結する新たな基本制度システムと監督・管理モデルを確立するものだ。 政府機関の簡素化と権限の委譲によって企業投資を引きつけ、政府の自己革命によって市場公正を推進する。「ネガティブリスト」制度によって企業に革新の空間を与え、企業生産力の発展を束縛する要素から解き放つ。例えば優遇政策について言えば、「大胆に突き進み、大胆に試み、自主的に改革する」との指示が自由貿易区の優遇政策であり、制度改革が自由貿易区の政策的ボーナスだ。これが中央の自由貿易区建設の加速の背後にある改革の深意だ。1つは、上海での先行テストを通じて、中国の特色に適した投資・貿易体制を探る。もう1つは、政策依存を脱し、革新などによって制度改革のトップレベルデザインに呼応しなければならないという強い改革のシグナルを地方に向けて発する。 モデル転換期にある今日の中国は各地域により発展が不均衡で、直面する試練も異なる。統一的優遇政策による経済成長の牽引に望みをかけるのはもう不可能だ。また、習慣的な政策依存は地方政府による市場への過度の干渉、市場活力の抑え込みを招く。 自由貿易区を設けるには、まず自由貿易区について読み解き、理解する必要がある。同様の理由で、新たな改革開放というバスに乗り遅れないためには、このバスがどの方向へ向かっているのかをはっきりと把握し、バスに間に合うための道筋を理解する必要がある。中央の優遇政策頼みで改革開放の車輪を追いかけようとしては、先行の優勢を失い、結局一テンポ遅れ、うまくいかず、タイミングを逃すことになる。30数年前、安徽省鳳陽県小崗村の農民18人が「生死状」に連判して農地を世帯に分けた時、誰が彼らに生産責任制という優遇政策を与えただろうか?改革にはトップレベルデザインと同時に現場の革新が必要であり、「大胆に突き進み、大胆に試み、自主的に改革する」必要がある。 制度革新が看板を掲げた塀の中でのみ実践できるものであったことはない。実際には、各地・各分野共に「廃・改・立」問題を抱えている。どこで試験するかは重要でなく、肝要なのは知恵と勇気をもって、機能を転換し、政府機関を簡素化し、権限を委譲し、経済発展の突破口を探り出すことだ。 習近平総書記は上海代表団での政府活動報告の審議に参加した際「百隻の船が争って進む中、櫂を振る者が先んじる」と述べた。櫂を振る者に最も必要なのは自らの内生的な力を引き出し、改革深化への動力とすることだ。そうしてのみ、激流の渦に巻き込まれて前進できなくなる事態を回避できる。
「人民網日本語版」2014年3月11日
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